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牛乳アレルギーでも乳酸菌飲料を飲んでも大丈夫?

牛乳アレルギーでも乳酸菌飲料を飲んでも大丈夫?

子供の食物アレルギーの原因として、卵に続いて2番目に多いのが「牛乳・乳製品」です。そこで、原材料でアレルギーを確認する時に意外とまぎらわしい表示が、「乳酸菌」や「乳糖」など「乳」がつくもの。

最近では、一部の乳酸菌による、免疫を活性化する作用に注目が集まり、感染症をはじめ様々な疾患に対する予防効果の研究・検討が各方面で進められ、機能性を強調する新商品が次々と開発されています。

それにより、インフルエンザなどの感染症の予防や、免疫力を高めるために、子供に乳酸菌飲料を飲ませているという家庭も多いのではないでしょうか。

そこで、今回は「牛乳アレルギーでも乳酸菌飲料を飲んでも大丈夫なのか?」という疑問にお答えするとともに、その他、「乳」がつくまぎらわしい表示についても、わかりやすく解説していきます。

牛乳・乳製品アレルギーについて

牛乳・乳製品アレルギーの多くは、牛乳に含まれるタンパク質の一種であるカゼインが原因です。カゼインは、耐熱性があるため加熱してもタンパク質の構造はほとんど変化せず、アレルギーの起こしやすさは変わりません。また、発酵させてもカゼインの成分は分解されにくいため、ヨーグルトやチーズなどの加工食品も牛乳同様に注意が必要です。

【牛乳を含む加工食品の例】
ヨーグルト、チーズ、バター、生クリーム、全粉乳、 脱脂粉乳、一般の調製粉乳、れん乳、乳酸菌飲料、はっ酵乳、アイスクリーム、パン、カレーやシチューのルウ、肉類加工品(ハム、ウインナーなど)洋菓子類(チョコレートなど)、調味料の一部 など

アレルギーの症状としては、湿疹ができたり、喘息など呼吸器系に影響がでます。

アレルギーとは違う乳糖不耐症

牛乳を飲む度にお腹の調子が悪くなると、もしかして自分は乳のアレルギーがあるのではないか…と心配になる方もおられると思います。
しかし、この症状はアレルギーではなく、「乳糖不耐症」という疾患かもしれません。
乳糖不耐症は、乳に含まれる自然の糖分である乳糖をグルコースとガラクトースに分解する乳糖分解酵素(ラクターゼ)という消化酵素の活性が低下し、分解することができない状態のことで、消化不良・お腹の不快感、腹痛、下痢、おならなどの症状が現れます。

症状に個人差があり、量や温度によっては飲んでも大丈夫ということもあります。一般的には大人になると乳糖分解酵素のラクターゼの分泌が減少することが多いため、子供の頃は大丈夫だったのに…ということも。
おなかがゴロゴロしてしまう人も安心して飲める牛乳というものが市販されています。
この牛乳を飲んでみて、ゴロゴロしなければ乳糖不耐症、それでもお腹の調子が悪いようであればアレルギーの可能性があります。
稀に、先天性乳糖不耐症という、赤ちゃんが母乳やミルクを飲むことにより下痢をしてしまう病気がありますが、病院でしっかり診断してもらえれば専用のミルクなどで対処が可能です。

牛乳アレルギーなのに、ヨーグルトは食べれる?

「自分は牛乳アレルギーなはずなのに、ヨーグルトだけはなぜか食べられるんです」という話を聞いたことはありませんか?
不思議に思いながらも、ヨーグルトは食べても問題なかったのでそのまま食べているという人もおられるかと思います。

牛乳アレルギーは、食物アレルギーのひとつで、原因となる食物を摂取した後にアレルギー反応が起こり、腹痛や下痢、じんましん、呼吸困難、アナフィラキシーショックなどが起こる、深刻な病態です。
牛乳に含まれる「たんぱく質」が原因で症状が起こります。
加熱してもアレルギーを起こす力は弱まりません。ヨーグルトのように発酵したものも、その力はあまり変わらないと言われています。
つまり、乳を含む食品のアレルゲン性は、その食品に含まれる乳たんぱく質の量が多いか少ないかで決まるということです。

牛乳100mlに含まれるたんぱく質は3.4g、ヨーグルト100gに含まれるたんぱく質は3.6gです。
形状は違えど、含まれるたんぱく質の量はほぼ同じぐらいだと言えます。
乳アレルギーはたんぱく質の量で発症するので、牛乳は飲めないがヨーグルトは大丈夫だということは考えにくいということなのです。
つまり、先ほどお話した「乳糖不耐症」の可能性が高いということですね。

牛乳を飲んでアレルギーのような症状が起こるということは、「乳糖」が不調の原因かもしれないので、乳糖を予め分解したり除去したりした、おなかがゴロゴロしにくい牛乳が市販されているので試してみても良いかもしれません。
乳アレルギーも乳糖不耐症も、牛乳を飲むと体調を崩すという意味では似ていますが、どちらかわからず気になる場合は医療機関で早めに相談することをおすすめします。

乳アレルギーは新生児にも起こります。粉ミルクを飲んだことで発覚することが多いのですが、その場合は牛乳アレルギー用のミルクを使用することになります。購入の際、「乳糖除去ミルク」を牛乳アレルギー用だと思い、使用してしまったということも。乳糖除去ミルクには乳たんぱく質が入っています。命に関わる可能性もあるので、購入の際には内容をよく読んで気を付けましょう。

アレルギー表示で正しい見分けを

牛乳は、特定原材料として加工食品のアレルギー表示が義務づけられています。
しかし、表示されるアレルギー物質の名称は一つではなく、例えば、「卵」→「たまご」に置き換えたり、「落花生」→「ピーナッツ」に置き換えたり、異なった表記でも特定原材料と同一であることが理解できる場合には、別の名称で表記すること(代替表記)が認められています。

「乳」の場合は、「バター、チーズ、アイスクリーム」など「乳」という字のつかない加工品名で記されることもあるので注意が必要です。

【乳の表記について】
代替表記 拡大表記 その他
ミルク、バター、バターオイル、チーズ、アイスクリーム アイスミルク、ガーリックバター、プロセスチーズ、乳糖、乳たんぱく、生乳、牛乳、濃縮乳、加糖れん乳、調製粉乳 生クリーム、ヨーグルト、ラクトアイスなど

※代替表記・・・表記方法や言葉が違うが、特定原材料と同一であるということが理解できる表記
※拡大表記・・・特定原材料名または代替表記を含んでいるため、これらを用いた食品であると理解できる表記例
※その他の表記例・・・2020年3月まで使われる可能性がある表記例(旧表示によるもの)

材料表示の形には、個別表示と一括表示があり、原材料中の加工食品にアレルギー物質が含まれている場合、その食品名のあとにカッコでその名称が表示されます。

【個別表示の例】

【一括表示の例】

原則は「個別表示」ですが、含まれているすべてのアレルギー物質をまとめて表示する「一括表示」も認められています。しかし、この場合はどの原材料に何のアレルギー物質が含まれているのかわかりません。

このように、牛乳・乳製品アレルギーの場合は、名称上の「乳」という文字の有無だけでは、一概に食べられるかどうかを判断できません。誤食なく、食べられる食品を増やすためには、食品表示から、食べられる食品と食べられない食品を正しく見分けることが重要です。

乳酸菌はOK!牛乳・乳製品とは無関係の原材料

加工食品に利用されているる「乳化剤」「乳酸菌」「乳酸カルシウム」などは、名称に「乳」がつくため、乳製品と誤解されやすいですが、牛乳とは無関係です。
一方、「全粉乳」「脱脂粉乳」「練乳」「乳酸菌飲料」「はっ酵乳」などの加工食品は、牛乳・乳製品アレルギーの場合は食べられません。

「乳酸菌」は大丈夫で、「乳酸菌飲料」は食べれないとはどういうことなのでしょうか?

牛乳・乳製品アレルギーでも乳酸菌OK!

乳酸菌を多く含む食品には、ヨーグルト、チーズ、みそ、キムチなどの発酵食品があげられます。乳酸菌は、これらの食べ物をは発酵して乳酸を作り出す細菌のことをいいます。牛乳を原料としてつくられているものではないので、乳酸菌自体にはアレルギーを引き起こすタンパク質(ガゼイン)は含まれていません。

しかし、乳酸菌が豊富に含まれているイメージのあるヨーグルトやチーズは、牛乳から作られているものが多く、牛乳・乳製品アレルギーにとって注意が必要となります。乳酸菌は大丈夫でも、ヨーグルトやチーズには乳成分が含まれています。

また、「乳酸菌飲料」とは、乳製品に乳酸菌を入れてつくられている飲料に限られます。
「乳製品乳酸菌飲料」というものもあり、こちらは乳酸菌飲料に比べ、無脂乳固形分や乳酸菌数が多いものを指します。
乳製品を原料としていない乳酸菌発酵飲料は「乳酸菌飲料」という表示ができないのです。
頭がこんがらがってきますよね。
乳酸菌を食べ物から取り入れる場合は、みそやキムチなど、牛乳から作られていない発酵食品であれば問題ないというわけです。

乳酸菌サプリメントは飲んで大丈夫?

乳酸菌サプリの中でも、乳製品が含まれていない商品であれば、牛乳・乳製品アレルギーでも問題なく飲むことができます。ただし、乳酸菌サプリの中には、乳成分を含んでいる商品もあります。乳成分を含んでいる場合は、飲むことが出来ません。それを見分ける方法は、表示されている原材料を確認することです。

乳酸菌サプリを選ぶ際は必ず原材料をしっかりと確認するようにしましょう。

その他のまぎらわしい表示

【大丈夫な原材料】

【乳成分が含まれている原材料】

まとめ

いかがでしたでしょうか。
子供が牛乳・乳製品アレルギーの場合、表示を気にして食品を買っている方も多いと思いますが、原材料を見ただけでは判断に迷うものが数多く存在します。
「乳」という文字の有無だけでは一概に食べられるかどうかを判断するのが難しく、慣れるまでは大変かと思いますが、食物アレルギーは成長とともに症状が落ち着いてくるケースが多いので、食について学べるいい機会と思って上手に付き合っていきたいですね。

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