【結論】ヨーグルトに含まれる乳酸菌が花粉症に確実に効くという科学的根拠はまだ十分ではなく、厚生労働省の調査でも効果を訴える人は30%以下とされています。しかし、腸内環境と免疫は深く関係しており、特定の乳酸菌は免疫バランスの調整に寄与する可能性があるため、毎日継続して摂ることで腸内環境を整え、体質改善や予防につながる可能性があります。薬のような即効性はなく、症状が出る2〜3ヶ月前から始めるのが推奨されます。
検証:菊正宗酒造 乳酸菌研究開発チーム
研究成果一覧(LK‑117等)
菊正宗酒造総合研究所
「花粉症にはヨーグルトが良い」という話をよく耳にしませんか?
スーパーには様々な機能性ヨーグルトが並んでいますが、実際のところ、ただの気休めなのでしょうか、それとも科学的な裏付けがあるのでしょうか。
実は、あなたの腸と菌の「相性」に秘密があるかもしれません。古来より穀物や野菜中心の食生活を送ってきた日本人には、動物性の乳酸菌よりも、お米や漬物由来の「植物性乳酸菌」の方が定着しやすいという説があります。
本記事では、アレルギーと免疫の最新研究を紐解きながら、日本人のための「花粉症対策」について解説します。
なぜ「ヨーグルト」だけではダメなのか?日本人の体質と腸
花粉症対策=ヨーグルトというイメージが定着していますが、すべての人に万能ではありません。
日本人の腸と食の歴史
私たち日本人は長きにわたり、米、大豆(味噌・醤油)、野菜(漬物)を中心とした食生活を送ってきました。乳製品を日常的に摂るようになったのは、長い歴史から見ればごく最近のことです。そのため、日本人の腸内環境は、穀物や野菜を発酵させる「植物性乳酸菌」と親和性が高いと考えられています。
植物性乳酸菌の「生き抜く力」
ヨーグルトに含まれる動物性乳酸菌は、栄養豊富なミルクの中で育つため、胃酸や胆汁酸に弱い傾向があります。 一方、過酷な環境(塩分や酸度が高い漬物樽など)で育つ植物性乳酸菌(お米や漬物の菌)は、胃酸に負けずに生きて腸まで届く力(生残性)が強いのが特徴です。
生きて腸に届き、長く留まることで、免疫システムへの働きかけがより期待できるのです。
生きた菌と死んだ菌では効果が違います。詳しくは以下を確認してみてください。
【専門家解説】生きてるより死んだ乳酸菌がアレルギーなどに働く
免疫が、花粉を必死に外に追い出そうとするときに、花粉症の症状を引き起こす原因となるヒスタミンなどのアレルギー誘発物質が放出されます。
花粉症の引き金を引くのは、免疫反応で重要な役割を持つ肥満細胞です。肥満細胞は、私たちの皮膚や粘膜など全身の組織に広く分布し、花粉とくっつくことでヒスタミンを放出します。その肥満細胞と花粉をくっつけるのが「抗体」です。
最近では、花粉の飛散量が増加傾向にあり、抗体が十分な量になるまでの期間が短く、大人だけでなく子供でも花粉症を発症するようなっています。
花粉症は、少し前までは遺伝的な要因が大きいと考えられていましたが、ここ10年間で有病率が約10%も増加していることから、環境的要因など影響もあると考えられています。そのため、薬などによる対症療法とは別に、体質改善のために食事による民間療法も重要視されています。
特定の食べ物を摂り続けたところ症状が軽くなったという経験談などがさまざまなメディアで取り上げられています。その代表格が、乳酸菌が多く含まれているヨーグルトです。
どうして花粉症にヨーグルトが効くと言われるのか?
ヨーグルトにも含まれるている乳酸菌には、腸内環境を整えてることで花粉症などの症状を軽減し、また毎日食べることで予防にもつながると言われています。また、腸内の善玉菌が増えることで、IgE抗体の産生が抑えられるなどとも言われています。
腸管の内側では免疫に関わる多くの細胞が作られ、体中の免疫細胞の約7割が腸に集中し、免疫システムを支えています。そして、免疫細胞の形成には、腸内細菌が大きく関わっています。
つまり、腸内細菌のバランスが悪化すれば、免疫細胞の産生が乱れ花粉症を招く原因になるとも考えれ、腸内環境を整えてくれる乳酸菌が効くと考えられています。しかし、実際には厚生労働省によるアレルギー性疾患に対する民間療法の有効性などについて調査研究では以下のように記載されています。
使用頻度が増加しているヨーグルト、乳酸菌剤ですが、一般医療機関を受診しているアレルギー性鼻炎患者さんの調査では、効果ありと判断されている方は30%以下です。
この厚生労働省の調査は、2007年頃に行われたものなので少し古いのですが、乳酸菌が花粉症に効くというデータを示すにはまだまだ検討が必要なようです。
乳酸菌の摂取は花粉症に効かない?
だからといって、乳酸菌が花粉症に効かないと判断するのはまだ早いようです。その理由を知るために、免疫の仕組みについてもう少し詳しく見ていきましょう。
私たちの体の免疫細胞には、免疫システムをコントロールする司令塔の役割を果たす「ヘルパーT細胞」があり、これにはTh1(1型)とTh2(2型)の2種類あります。どちらかが増えるともう片方が減る仕組みになっていて、この2種類の免疫細胞がバランスを保ちながら免疫システムをコントロールしています。
Th2から産出されるIL-4(インターロイキン4)という化学伝達物質は、IgE抗体の産出を促すため、花粉症の人はTh2がTh1より優位な状態(アレルギー体質)になっていることが考えられています。
花粉症予防のために、乳酸菌を摂取するのであれば、このような免疫調整機能をもつ特定の乳酸菌を摂取することをオススメします。
科学的根拠:乳酸菌が花粉症を抑えるメカニズム
「お米の乳酸菌」であっても、花粉症に効くメカニズムの基本は同じです。その仕組みを簡単に解説します。
崩れた「Th1/Th2バランス」を整える
花粉症の人の体内では、免疫細胞のバランス(Th1/Th2)が崩れ、アレルギー反応を引き起こす「Th2細胞」が暴走しています。
腸の免疫スイッチをオンにする
腸に届いた乳酸菌は、パイエル板などの免疫組織に取り込まれます。
Th1細胞を活性化させる
乳酸菌の刺激によりTh1細胞が元気になり、暴走していたTh2細胞を抑制します。
IgE抗体の産生を抑える
結果として、くしゃみや鼻水の元凶となる「IgE抗体」が作られにくくなります。
この免疫調整作用は、動物性に限らず、特定の植物性乳酸菌(米由来など)でも同様、あるいはそれ以上の効果が研究で報告され始めています。
日本人が今すぐ摂るべき食材
では、具体的に何を摂ればよいのでしょうか。日本人の腸にフィットする食材をご紹介します。
① お米由来の乳酸菌(ライスパワー)
近年、お米から発見された乳酸菌(K-1株やK-2株など)の研究が進んでいます。これらはアレルギー症状の緩和や肌のバリア機能改善に寄与することが分かっています。
おすすめ: 酒粕、甘酒(米麹由来)、または「米由来乳酸菌」を配合したサプリメントや機能性食品。
② ぬか漬け(古来のプロバイオティクス)
米ぬかで野菜を発酵させる「ぬか漬け」は、植物性乳酸菌の宝庫です。酪酸菌なども含まれ、日本人の腸内フローラを強力にサポートします。
ポイント: スーパーの浅漬けではなく、きちんと発酵している「ぬか漬け」を選びましょう。
③ 伝統的な発酵調味料
味噌や醤油も、発酵の過程で菌が関わっています。加熱すると菌は死んでしまいますが、菌の死骸(菌体成分)であっても免疫を刺激するスイッチとしての役割は果たします。
実践: 毎日のお味噌汁は、最強の「飲む花粉症対策」と言えます。
日本人に合う乳酸菌
乳酸菌は糖から乳酸をつくる菌の総称で、かなりたくさんの種類があります。
そして、私たちの腸には、100種類以上、100兆個を超える細菌が棲息し、腸内に定着している細菌をまとめて腸内細菌叢(腸内フローラ)と呼び、この腸内細菌叢は1人1人異なります。
無菌状態の子宮にいた赤ちゃんの腸には、腸内細菌はいません。その後の、産道を通ってお母さんの菌を受け継ぎ、生活環境や食生活によって徐々に、腸内細菌叢が形成されていきます。親子でも腸内細菌叢は異なります。また、腸内細菌叢の原型は3歳までに作られると言われていて、その後、摂取した細菌は腸に定着することはほとんどありません。
腸内細菌を活性化するためには、自分の腸内細菌と相性のいい乳酸菌を見つけることがとても重要になります。乳酸菌との相性が良ければ、乳酸菌が腸を通過する間にしっかりと活躍してくれます。
特に、日本人は、古くから味噌や漬物などの植物性の発酵食品を食べてきたと日本食の歴史から、ヨーグルトなどに含まれている動物性乳酸菌よりも、植物性乳酸菌の方が相性がいいと考えられています。
FAQ:よくある質問
- 花粉症にヨーグルトの乳酸菌が効くというのは本当ですか?
- 近年、「花粉症にヨーグルトの乳酸菌が効く」という話がよく聞かれます。これは、乳酸菌が腸内環境を整えることで、花粉症などのアレルギー症状を軽減したり、予防につながると考えられているためです。腸には免疫細胞の約7割が集中しており、腸内環境のバランスが悪化すると免疫細胞の産生が乱れ、花粉症の原因になる可能性があるため、乳酸菌の摂取が注目されています。
- 花粉症はなぜ起こるのですか?
- 花粉症は、スギやヒノキなどの植物の花粉を体が異物(アレルゲン)と認識し、免疫が過剰に反応することで起こるアレルギーです。体内に花粉が侵入すると、その花粉に対応するIgE抗体が作られ、一定量に達すると、再び花粉が侵入した際に、免疫がヒスタミンなどのアレルギー誘発物質を放出し、鼻水やくしゃみ、かゆみといった症状を引き起こします。
- 乳酸菌が花粉症に効果があるという科学的な根拠はありますか?
- 厚生労働省が過去に行った調査(2007年頃)では、乳酸菌の摂取で花粉症に効果があったと判断されたアレルギー性鼻炎患者は30%以下とされており、当時のデータではさらなる検討が必要とされていました。しかし、現在では特定の乳酸菌が持つ「免疫調整機能」により、花粉症などのアレルギー症状を緩和する効果があることが研究で示されています。アレルギー体質の人は免疫バランスが偏っていることが多く、特定の乳酸菌がこのバランスを整える可能性が指摘されています。
- 花粉症対策として乳酸菌を摂取する際のポイントは何ですか?
- 乳酸菌は種類が非常に多く、個人の腸内環境との相性が重要です。自分の腸内細菌と相性の良い乳酸菌を見つけ、毎日継続して摂取することが大切です。また、日本人は古くから植物性の発酵食品を食べてきた歴史があるため、ヨーグルトなどの動物性乳酸菌よりも植物性乳酸菌の方が相性が良いと考えられています。
- 乳酸菌の摂取は花粉症に即効性がありますか?
- 乳酸菌の摂取は薬のような即効性はありません。腸内環境の改善や体質改善には時間がかかるため、花粉症の症状が出る2〜3ヶ月前から継続して摂取を始めることが推奨されます。
- 花粉症の体質改善のために、乳酸菌以外にできることはありますか?
- 花粉症の根本的な体質改善には、毎日の食事や生活習慣を見直すことが必要です。バランスの取れた食事、十分な睡眠、ストレスの軽減などが免疫機能の正常化につながり、花粉症の症状を和らげる可能性があります。
まとめ
花粉症の症状の重い場合や、今すぐに症状を何とかしたいという場合は薬に頼ることも必要ですが、花粉症の体質を根本的に治す薬はありません。そのため、根本的な体質改善については、毎日の食事や生活習慣などを改善していく必要がります。
ヨーグルトなどに含まれている乳酸菌が花粉症に効くという確実なものはありませんが、現在では特定の乳酸菌に、花粉症に対する効果があることも発見されています。それらの乳酸菌を摂り入れながら、腸内環境を整えて花粉症を予防する方が健康的な気がします。乳酸菌の摂取は毎日続けることが重要で、薬のような即効性はないので花粉症が流行する2、3ヶ月前から始めるのがオススメです。
