【結論】子どもの腹痛には、便秘が最も多い原因であり、便が出ることで痛みが軽くなるケースがよくあります。その他にも胃腸炎、食中毒、ストレス性の腹痛など原因は多様で、症状の特徴や状況をよく観察することが大切です。特にストレスや生活習慣の影響は腸の働きと深く関わっており、食事・水分・生活リズムの見直し、腸内環境を整えることが腹痛改善の助けになります。痛みが強い、長引く、発熱や嘔吐を伴う場合は早めの医療機関受診を検討しましょう。
検証:菊正宗酒造 乳酸菌研究開発チーム
研究成果一覧(LK‑117等)
菊正宗酒造総合研究所
子供が「お腹が痛い」と訴えるとき、下痢や風邪以外に多く見られるのが**「便秘」**です。毎日出ているから大丈夫と思っていても、実は直腸に便が溜まっているケースもあります。本記事では、専門機関のガイドラインに基づき、子供の便秘による腹痛のメカニズムと正しいケアについて解説します。
子供の便秘とは?「毎日出ていれば安心」は間違い
子どもの腹痛で最も多いのが「便秘」です。ある程度の会話ができる年齢の子どもであれば、便が出ているかどうか、最後に便が出たのはいつかなど、聞いてみることが大切です。
小児の便秘症は、単に「回数が少ない」ことだけを指すのではありません。
- 定義: 排便回数が週2回以下、あるいは排便困難(硬い便、排便時の痛み、出血など)を伴う状態を指します。
- 隠れ便秘: 毎日少量ずつ出ていても、直腸に巨大な便の塊(糞塊)が溜まっていることがあります。この塊の隙間から液状の便が漏れ出し、一見「下痢」のように見えることもあるため注意が必要です。
子どもの便秘とはどういう状態なのか
便秘とは、便が長い時間出ない、または出にくい状態のことをいいます。週に3回以下、または、5日以上出ない日が続けば便秘と考えられます。また、毎日出ていても、出す時に痛がったり、肛門が切れて出血がある場合も便秘です。腸に便が溜まりすぎると、少量の便が頻繁に漏れ出るようになることもあるので、小さいコロコロの便や、軟らかい便が少しづつ1日に何回も出る場合も便秘の疑いがあります。
治療が必要な状態の便秘は「便秘症」と呼ばれ、便秘症が1~2ヵ月以上続いた場合には「慢性便秘症」と呼ばれます。
子どもの便秘症は珍しいことではなく、10人に1人くらいかそれ以上と考えられています。離乳食や幼児食の開始などの食事内容が変化する時期や、トイレットトレーニングの頃、学校へ通いだ
した頃などに便秘症になりやすいと言われています。
便秘の特徴としては、下腹部がパンパンに膨らんでいたり、お腹を触ると痛がるといった症状があります。便秘の場合は、便が出てしまえばスッキリするので、お腹を「の」の字でマッサージしたり、浣腸などで対処する方法もあります。便秘が頻繁に起こる場合は、かかりつけの医師と相談しながら、子どもに合った対処方法を見つけましょう。
なぜ痛くなる?便秘の「悪循環」
子供の便秘で最も特徴的なのが、痛みによる**「排便制止(がまん)」**です。
- きっかけ: 食事の変化や環境の変化で便が硬くなり、出すときに痛みを感じる。
- 我慢: 子供は痛みから逃れようと、便意があってもお尻を締めて我慢してしまいます(心因性便秘) 。
- 悪化: 直腸に留まった便から水分が吸収されてさらに硬くなり、直腸が伸びて感度が低下。ますます便意を感じにくくなります 。
- 腹痛: 溜まった便が腸を圧迫したり、ガスが溜まったりすることで、強い腹痛を引き起こします。
子どもの便秘が慢性化するとどうなるのか
子どもにとって腹痛は日常的な体のトラブルですが、腹痛の原因には様々なことが考えられるため、どこがどう痛いのかをしっかり聞いて判断をする必要があります。ここでは、便秘以外に考えられる代表的な子どもの腹痛の原因と対処法を紹介します。
- 胃腸炎:胃腸炎は、一定の周期的な痛みを繰り返したり、発熱や下痢、嘔吐を伴うことが多いです。脱水症状を起こしやすいので、嘔吐が落ち着いたら少量ずつ水分補給を行いましょう。嘔吐がある場合は、嘔吐物が気管に入らないように、顔を横や下に向けるようにします。
- ストレス:ストレスが原因の腹痛の場合は、激しい腹痛や嘔吐、発熱といった症状は見られず、何となくお腹が痛いということが多いですが、極度のストレスで自律神経のバランスが乱れると胃腸過敏になることもあるため、しっかりとケアをして上げることが大切です。子どもは何らかの不安を抱えることでストレスを感じていることもあるので、話をよく聞いてあげたり、抱きしめたりと普段から子どもの様子を注意して見てあげましょう。
- 食中毒:食中毒の場合は、原因となる菌によって発症するタイミングや症状が異なります。
【食中毒の種類と症状】
| 菌の種類 | 発症するタイミング | 症状 |
|---|---|---|
| サルモネラ菌 | 食後6~48時間ほど | 吐き気、下痢、発熱、腹痛 |
| 黄色ブドウ球菌 | 食後30分~6時間ほど | 急激な下痢・嘔吐・腹痛 |
| 腸炎ビブリオ菌 | 食後4時間~4日間ほど | 激しい下痢を伴う腹痛る |
| カンピロバクター | 食後2~7日 | 吐き気、下痢(血が混ざる場合も)、発熱 |
| 腸管出血性大腸菌 | 食後12時間~2.5日ほど | 発熱、下痢(血が混ざる場合も)を伴う激しい腹痛 |
| ノロウイルス | 食後1~2日 | 吐き気、激しい下痢を伴う腹痛 |
下痢により脱水症状を起こしやすいため、水分補給を行うようにしましょう。食中毒は放置すると脱水症状が重症化する恐れがあるので、早めに医療機関を受診しましょう。
- 盲腸:盲腸は、みぞおち辺りの痛みから始まり、徐々に右下腹部周辺に痛みが出ます。持続的な痛みを生じることが多く、痛みが強くなると歩けなくなることもあります。また、吐き気や嘔吐、下痢、発熱を伴うこともあります。子どもの盲腸は判断することが難しいため、半日以上も腹痛が続く場合や、お腹を抱え込むように痛みを訴える場合は、早めに医療機関を受診するようにしましょう。
- 腸重積(ちょうじゅうせき):腸重積とは、腸の一部が腸内に入り込んで腸を閉塞する疾患です。症状としては、突然の激しい腹痛や、嘔吐を伴う腹痛、顔色が悪くなる、腸からの出血によりいちごジャムのような血便が出ます。腸重積は、発症してから24時間経過すると手術が必要な事態に陥る恐れがあるため、様子がおかしいと感じたときは迷わずすぐに医療機関を受診しましょう。早期発見であれば、高圧浣腸による治療で済むこともあります。
こんな症状の時は早めに病院へ
- 激しい腹痛が1時間以上続く
- ぐったりしてボーっとしている
- 38℃以上の発熱がある
- 嘔吐を繰り返す
- お腹がパンパンに膨らんでいる
- お腹を触ると痛がる
- 便の中に血が混じっている
- 股の付け根や股を痛がる
- 生後1ヶ月以内に初めての便(胎便)が出るのが遅かった
- お腹が異常に膨らんでいる、嘔吐を繰り返す
- 便が細い、常に便が漏れている
- 成長の遅れが見られる
子どもは自分が感じていることをうまく表現できないことも多いため腹痛の判断は難しいですが、いつ頃からどのような感じのお腹の痛みなのかを、受診時に伝えられるように子どもの全身状態よく観察しておくようにしましょう。
水分をたくさん飲めば治る?
「便秘には水分」と思われがちですが、実は子供の便秘と水分の摂取量にはあまり直接的な関係はないことがわかっています。
極端な脱水状態でない限り、水分を増やすだけで便秘が劇的に改善することは稀です。むしろ、以下の生活習慣の見直しが重要です。
子どもの「お腹が痛い」ときの対処法
子どもが「お腹が痛い」と訴えたときはまず、子どもが訴えている痛みの程度を判断します。我慢できないほどのときは緊急で医療機関を受診します。我慢できる痛みの場合には、全身状態を確認します。
- 発熱があるか?
- せき・鼻水などの風邪の症状があるか?
- 便が出ているか?
- 便が出ている場合は便の状態を確認
下痢便のときは、急性の胃腸炎が考えられます。便に血が混じっているときは。腸重積が考えられます。その場合には、緊急対応が必要です。お腹全体を見て、張っていれば緊急性があります。
痛みが軽く、何となくお腹が痛いという場合は判断が難しいですが、これから痛みが強くなるかどうか経過をよく観察し、痛みが強くなれば緊急性があると判断し、医療機関を受診してください。何となく繰り返しお腹が痛いときは、ストレスや心理的問題も考えられます。大人が気づかない些細なことでも、子どもにとってはお腹が痛くなるほど心に負担がかかっていることもあるので、親のちょっとした言葉や対応にも気を付けるようにしましょう。また、集団生活をしている子どもの場合、友達や大人との関係でお腹が痛くなることもあります。親がしっかりとコミュニケーションを取り、ちゃんとあなたのことを見ているよと安心感を与えてあげることも大切です。
FAQ:よくある質問
- 子どもがお腹を痛がるのはよくあることですか?
- はい、子どもがお腹の痛みを訴えることは比較的よくあります。胃腸の働きが未成熟であることや、食事内容、生活リズム、ストレスなどさまざまな要因が関係します。ただし、痛みの強さや持続時間によっては医療機関での評価が必要な場合もあります。
- 子どもの腹痛の主な原因は何ですか?
- 主な原因として、機能性腹痛(検査で異常が見つからない腹痛)、便秘、急性胃腸炎などの感染症、食物アレルギー、消化管の炎症などが挙げられます。痛みの部位や症状の経過が診断の手がかりとなるため、繰り返す場合は医療機関で相談することが重要です。
- どのような症状があれば受診すべきですか?
- 強い腹痛が続く、発熱や激しい嘔吐・下痢がある、血便や黒色便がみられる、ぐったりしているなどの症状がある場合は、速やかに医療機関を受診してください。これらは感染症や重篤な疾患が背景にある可能性があります。
- 腸内環境は子どもの腹痛と関係がありますか?
- 腸は消化機能だけでなく免疫機能とも深く関係しています。乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌は腸内環境を整える働きがあり、腸管の動きをサポートする可能性が示唆されています。ただし、食品やサプリメントは治療薬ではなく、症状が続く場合は医療機関での相談が必要です。
- 便秘は腹痛の原因になりますか?
- はい、便秘によって硬い便が腸内に長く留まると、腸壁が刺激され腹痛や不快感を引き起こすことがあります。慢性的な便秘は腹部膨満感や食欲低下にもつながることがあります。食物繊維や水分の摂取、生活リズムの見直しが基本となります。
- 家庭でできる予防・対策はありますか?
- バランスのよい食事、十分な水分補給、適度な運動、規則正しい生活習慣が基本です。便意を我慢しない習慣づけや、ストレスの軽減も重要とされています。痛みが繰り返す場合は自己判断せず、医療機関で相談することが望ましいです。
まとめ:子どもの便秘には食生活が大切
食事療法がどれくらい便秘に効果があるのか、子どもによって異なるためはっきりとは分かっていませんが、日常の食生活を意識することは、生活習慣と同様に全般的な健康のためにも良いことなので、ぜひ以下のことを気にかけてみて下さい。
- 水分の摂取量
- 食事の内容
水分が不足すると便秘の原因になります。運動時はこまめに水分をとることや、乳幼児で多量の寝汗がみられる場合に夜間の厚着を改めることで便秘が改善されることがあります。ただし、脱水していないのに過剰に水分を摂取しても便秘に効果はありません。食事の量もそうですが、適度な摂取量が大切です。
便の量が少ないと腸に長く留まり、水分が吸収されて便が硬くなります。お菓子や甘い飲み物などは、カロリーが高いわりにあまり便にならないため、なるべく控えるようにしましょう。反対に、食物繊維などは腸で吸収されず水分を含んで便の量を増やし、硬くなることを防止する効果が期待できるため、意識して摂取するようにしましょう。食物繊維をとるのに適した食材は、野菜、海藻、果物、芋類、豆類です。
子供の便秘は「ただの便秘」と軽く考えず、早期に適切な治療を行うことが重要です。長引く場合は、直腸に溜まった便を一度取り除く「便塊除去(disimpaction)」などの医療処置が必要なこともあります 。「たかが便秘」と思わず、お子様が痛みを繰り返すようであれば、専門医に相談して「便秘の悪循環」を断ち切ってあげましょう。
大人の便秘や便秘と腸内環境・年齢別対策についてより詳しくは以下を確認してみてください。
▶ 子どもの便秘を見逃さないために!大人の便秘との違いについて
▶ 便秘と腸内環境・年齢別対策まとめ|子ども・女性・高齢者
本記事は研究結果や一般的な知見をもとにした情報提供を目的としており、医療行為や治療を目的としたものではありません。症状がある場合は医師や専門家にご相談ください。
