LK-117乳酸菌の開発
LK-117は、神戸大学との共同研究にて発見された乳酸菌で、日本生物工学会「技術賞」を受賞した進化系乳酸菌です。
江戸時代から続く伝統的な酒造りの製法である「生酛造り」から生まれた乳酸菌は天然で強いです。酒蔵に棲む天然の乳酸菌は、何度も樽の中で闘いを繰り返し進化、生命力の強い種類だけが生き残っていきます。生酛造りという厳しい環境の中で勝ち抜いた20種類以上の乳酸菌株の性質を比較研究し、その中から特にすぐれた免疫調整機能を持つ乳酸菌が「LK-117」です。
長年培った<伝統技術>を、常に<先端技術>へと発展させていきたい。そう考える菊正宗では、最先端の技術を備えた総合研究所で、醸造のメカニズムの解明ややバイオテクノロジーに基づく微生物育種、有用成分の効果解明といった高次元での研究を行なっています。
350年以上の長い間、日本酒の製造工程で重要な乳酸菌と向き合い続けた菊正宗だからこそ、培ってきた免疫調整機能を持つ乳酸菌「LK-117」を研究するため、食品機能性の権威である水野教授とともに、共同研究をしてきました。
まずは、アトピーやアレルギーの方がどのような過程で症状が深刻になるのかを知る必要がありました。健康な人の体内では、1型ヘルパーT細胞(Th1細胞)と2型ヘルパーT細胞(Th2細胞)の2つの免疫細胞のバランスがとれている状態です。ところが何らかの要因で、バランスがTh2細胞が優位になると、抗体をつくるリンパ球がIgE抗体を過剰に作ります。
IgE抗体は免疫グロブリンの一種で、体内に入ってきたアレルゲンに対しては働きかけ、体を守る機能があります。アレルギー体質には、血液中のIgE値も大きく関係しています。このIgE抗体の産生を抑制するには、免疫担当細胞であるマクロファージにIL-12を産生させることが重要であることが示されています。マクロファージのIL-12産生能を誘導することで、Th1細胞の増加を促進し、免疫バランスを整えます。
そこで、マウスに由来するマクロファージ様細胞に、生酛造りから生まれた20種類の乳酸菌(加熱殺菌)を添加し、IL-12産生誘導能が高い乳酸菌を5種類選抜。そこから、5種類の乳酸菌をそれぞれ1日2mgっずつ投与したマウスに、直接IgE抗体を注射し30分後にアレルゲンを塗布し、アレルギー反応による耳の腫れを計測したところ、4種類に抗アレルギー作用が見られました。その中でも、もっとも効果が高かったのがLK-117です。