梅雨に入り、風邪を引いてないのにくしゃみや鼻水が止まらない。それは、梅雨に繁殖しやすいカビやダニによるアレルギー症状かもしれません。カビ・ダニに関する正しい知識と、これらが引き起こすアレルギー症状や対処法を紹介します。
梅雨にカビやダニが繁殖する理由
湿度が高い梅雨の時期になるとカビやダニが増えます。
カビやダニが好む環境は、カビが湿度65%以上で室温20~25℃、ダニが湿度70%以上で室温20~25℃です。
カビやダニは、どちらも暖かくジメジメした環境を好むため、湿度の高い梅雨の時期になるとカビとダニが繁殖してくるのです。
しかも、室内に生息するダニはカビを好物としているため、「カビが繁殖しやすい場所=ダニが発生しやすい」という、負の相乗効果が働きます。
梅雨の時期は、繁殖したカビの胞子やダニのフンや死骸を吸い込むことで、アレルギー症状を引き起こすこともあるので注意が必要です。
カビは空気中の胞子に注意
カビは、酵母やキノコと同じ仲間で真菌類に属する微生物の一種です。カビは糸状菌と呼ばれ、最初は胞子の状態から発芽し細胞分裂しながら成長します。やがて菌糸が伸びて成熟すると、新たな胞子を形成して繁殖します。その新たな胞子が飛散し生息範囲を広げていきます。この、胞子と菌糸がアレルギーを引き起こす原因となります。
カビの胞子は非常に小さいため、空気中に浮遊しやすく、気付かないうちに吸い込んでしまったり、皮膚に触れたりしているのです。
ダニはフンや死骸に注意
微生物の一種であるカビとは違って、ダニは節足動物です。
ダニアレルギーの原因となるダニの種類は、コナヒョウヒダニやヤケヒョウヒダニで、世界的に共通しています。これらのダニは、ヒトの皮膚の垢や、室内のカビ類をエサにして繁殖します。そして、これらのダニのフンや死骸に含まれるタンパク質が、アレルギーを引き起こす原因となります。
室内のホコリ1gに含まれるダニのフンの死骸の成分が、わずか10µgでもアレルギーを発症するリスクがあると言われています。
カビやダニによるアレルギーが心配
私たちの体には、細菌やウイルスなどの異物が体内に侵入した際に、それを見つけて撃退しる「免疫」という防衛機能が備わっています。それにより、病気から体を守り、病気になっても重症にならず回復することができます。
ところが、私たちを守るはずの免疫が、異物に対して過剰に反応してしまい自分の体にまでダメージを与えてしまうことがあります。それが、アレルギー反応です。
カビやダニは人体にとっては異物であるため過剰に吸い込んでしまうと、それを撃退しようと免疫が過剰に反応しアレルギー反応が起こってしまいます。
カビやダニによるアレルギーの症状
カビやダニのフンや死骸が引き起こすアレルギーで、よく見れられる症状としては、アトピー性皮膚炎や気管支ぜんそく、鼻炎、目のかゆみなどです。
カビは、おもに鼻から吸い込まれるため、症状としては、湿疹やかゆみ、咳、鼻炎、結膜炎、呼吸困難などの気管支の症状が起こりやすくなります。さらには、重症化して肺炎を引き起こす可能性もあります。
ダニは、室内や寝具についたフンや死骸が肌に触れることで、痒みを伴う皮膚炎を発症します。また、吸い込むことでぜんそくなどの喉や鼻の呼吸器系の症状も現れます、特に、小児ぜんそくの場合は、8割以上がダニアレルギーが原因といわれています。
梅雨のカビやダニアレルギー対策
まずは、梅雨にカビやダニを繁殖させない対策としては、カビやダニの住みにくい環境を作ることが必要です。
その環境づくりに重要なことは、「換気」「除湿」「掃除」です。家の中の湿度を50%以下に保ち、晴れた日には窓やクローゼットを明けて換気をするようにしましょう。
家の中のカビ・ダニ対策のポイント
家の中のカビやダニの発生やすい環境を出来るだけなくし、発生させないことが大切です。
以下のポイントをおさえて、家の中をしっかり対策しておきましょう。
- しっかり換気をする
- 水分を残さない
- 清潔にする
- ダニが隠れる場所をなくす
高温多湿を好むカビやダニの繁殖を予防するには換気が有効です。まずは換気を徹底して温度を下げ、通気をすることが大切です。朝起きたら、窓を開けて空気の入れ替えをし、キッチンや浴室を使う時には必ず換気扇を回しましょう!
キッチンや浴室を使った後は、シンクや浴室の水分を残さないようにふき取りましょう。また、窓の結露なども要注意です。シンクや浴槽に汚れがついているとその上にカビが生えてくるのでこまめに掃除するようにしましょう。
カビやダニのエサとなる食べ物のカスや皮膚の垢などを取り除くには、こまめな掃除がとても大切です。キッチンまわりは、アルコールなどで除菌するのも効果的です。室内は、しっかりと掃除機をかけ、布団やラグマットなどはできるだけ干す対策を行いましょう。
畳、じゅうたん、布団、ぬいぐるみ、家具の隙間、部屋の隅など、隠れやすい場所にダニは卵を産みます。山積みのぬいぐるみなどは片づけたり、畳の上にはカーペットを敷かないようにするなど、ダニが隠れる場所を減らすようにしましょう。
カビは、キッチンや浴室などの湿気が多い場所を好みますが、生乾きの衣類や、湿気の含んだ布団やカーペット、洗濯機などにも発生しやすいので、室内の換気がとても大切です。また、エアコンや空気清浄機のフィルターにもカビが繁殖している可能性があるので、こまめに掃除することをおすすめします。
ダニ対策で、最も注意が必要なのが布団と枕です。布団は湿気がこもりやすく、枕はダニのエサとなる垢やフケがが付きやすいので、定期的に丸洗いし、布団乾燥機や天日干しで乾燥させ、シーツや枕カバーはこまめに取り替えるようにしましょう。
換気や掃除を習慣化すれば、カビやダニの繁殖を防ぐことができるので、常に清潔で快適な環境を保つことを心がけましょう。
カビやダニアレルギーの治療
カビやダニアレルギーの治療は、一般的なアレルギー症状と同じように、アレルギーの症状を緩和するための抗アレルギーの内服薬を処方します。
日常生活でアレルギーを防ぐには、原因を避けることが最も大切です。そのためには、常に清潔で快適な環境を保つことを心がけることが大切です。
アレルギー予防には早めの体質改善
カビやダニアレルギーによって、気管支ぜんそくなどを発症すると、ダニ以外のアレルゲンを原因とする花粉症や食物アレルギーなどに抗体ができて、やがていくつものアレルギー疾患を併発する可能性もあります。
アレルギーというのは、本来であれば体に害のないアレルゲンに対して免疫が過剰に反応してしまうことが原因です。免疫が過剰に反応してしまうのは、体の免疫バランスが崩れているからで、この免疫と深い関わりがあるのが腸内環境です。
腸には、体全体の免疫細胞の60%以上が集中しており、腸内環境を良くすることで免疫バランスを整えることにつながります。そのため、日頃から腸内環境を良くしておく必要があります。
腸内環境を良くするためには、発酵食品に含まれている乳酸菌がおすすめですが、乳酸菌の種類によっては、免疫に直接働きかけて免疫バランスを整える効果が期待できるものもあるので、それらの乳酸菌を積極的に摂取して、早めに体質を改善するのもいいでしょう。
まとめ
ダニアレルギーが発症しやすい時期は夏から秋にかけてのイメージがありますが、それはダニアレルギーの原因がダニのフンや死骸だからです。実際にカビやダニが繁殖しやすい梅雨の時期に、カビやダニを繁殖させないように対策しておくことが必要です。