アレルギーはO歳の赤ちゃんでも発症し、子供から大人まですべての世代に見られます。子供に湿疹やかゆみの症状が出たりすると、多くの親は「もしかしてアレルギー?」と焦ってしまうのではないでしょうか。アレルギー反応そのものは悪いものではありません。まずはアレルギーを理解することから始めましょう。
アレルギーの基本知識
アレルギーとは、ある特定の物質を食べたり、吸入したり、触れたりして体内に入ったときに、本来は体を守る免疫システムが過剰に働き、様々な症状が起こることをいいます。
アレルギーの種類には、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、花粉症などがあります。子供から大人までこれらのアレルギー疾患にかかる人が年々増加しています。
アレルギーを引き起こす「アレルゲン」
人の体の免疫システムは、外部から体内に侵入してきた異物に様々な防衛反応をとります。この免疫の防衛反応の一種がアレルギー反応で、免疫はIgE抗体を作って異物を攻撃してして体を守ろうとします。このアレルギー反応を起こす異物が「アレルゲン」です。
多くのアレルギーは、この免疫が特定の物質に対して過剰に反応しすぎて起こります。何らかの原因によってその物質が異物と認識されるとIgE抗体が必要以上に作られることで、様々なアレルギー症状が起こるのです。
さらに詳しいアレルギーの発症メカニズムについてはこちらの記事をご覧ください。
→ アトピーや花粉症などのアレルギー発症のメカニズム
子供に多い食物アレルギー
食物アレルギーは、1歳未満の乳児が発症することが圧倒的に多く、成長ともに症状が次第に減っていく傾向があり、6歳までに約80%が改善され、成人になると発症率は約8%にまで減少します。
食物アレルギーの症状で最も多いのが蕁麻疹やかゆみといった皮膚症状で、次に腹痛や吐き気などの消化器症状、くしゃみや鼻水などの呼吸器症状がでます。
食物アレルギーの主な症状はこちら。
消化器症状・・・腹痛、吐き気、嘔吐、下痢、血便
呼吸器症状・・・くしゃみ、鼻水、鼻づまり
口腔内症状・・・イガイガなどの違和感、腫れ、かゆみ
目の症状・・・充血、かゆみ、涙、腫れ、白目がゼリー状になる
気管支や肺の症状・・・せき、呼吸困難、ゼーゼーする
神経症状・・・ぐったりする、意識障害
危険なアナフィラキシー
アレルギー症状のなかでも、蕁麻疹や腹痛だけなど1つの臓器とどまらず、皮膚、呼吸器、消化器、循環器、神経など複数の臓器で強い症状が現れることを「アナフィラキシー」といい、食物アレルギー以外にも、薬物や蜂の毒が原因で起こります。
さらに、急激な血圧低下や意識障害などのショック症状は、「アナフィラキシーショック」といい、命をおびやかす危険な状態なので、一刻も早く医療機関を受診する必要があります。
アナフィラキシーは、アレルゲンの種類や個人差がありますがアレルゲンが体内に入ってから短時間に激しい症状が現れます。最も多い症状は、蕁麻疹や赤み、かゆみなどの皮膚症状で、続いて呼吸器、消化器、循環器など全身に渡る症状が複数同時に起こるのがアナフィラキシーの特徴です。数分で重症に至る場合もあるため、迅速かつ適切な対応が必要です。
小児ぜんそくの原因もアレルギー
小児ぜんそく患者の多くは2歳以下で発病し、小学校入学までに発症しています。なるべく早く適切な治療を受けることで思春期くらいまでに治るといわれています。
小児ぜんそくの原因は、ダニやカビ、ペットの毛などのアレルゲンや化学物質、たばこの煙などが気管支を刺激することで起こります。乳幼児の場合は、卵や牛乳、小麦などの食べ物が原因となることもあります。
小児ぜんそくの症状は、せきや息切れ、ゼーゼーという喘鳴、たん、呼吸困難などを繰り返します。アレルギー反応やその他の刺激によって、気管支を取り囲む筋肉が収縮したり、気管支の内側の粘膜が腫れ気管支が狭くなり、呼吸が苦しくなります。また、風邪、気管支炎、肺炎、インフルエンザなど呼吸器系の感染症にかかると症状が出たり重くなることがあります。
子供のアレルギーは防衛反応
子供に湿疹やかゆみ、せきが頻繁に出るなどの症状がみられると、多くの親は「もしかしてアレルギー?」と心配になってしまいます。しかし、アレルギー反応そのものは悪いものではありません。ただ、細菌やウイルスなどから体を守るための免疫システムがちょっと乱れて、本来であれば害のないものにまで防衛反応を起こしている状態です。防衛反応は良いのですが、問題はそれが「過剰になっている」ことです。
免疫力は、成長とともに発達していくので、子供の免疫力はまだうまく働かず、大人より過敏に反応してしまうことがあります。アレルギー反応は、体にとって未知なものや新しいものに出やすい傾向にあり、これは体が警戒している証拠です。子供にとって生まれてから触れる身の回りのほとんどが未知のもの。子供がアレルギー反応を起こすのは、ある意味で当たり前の防衛反応でもあるのです。
子供のアレルギー予防にできること
アレルギーの予防について3つの段階に分けて紹介します。
①アレルギーにならない体づくり
アレルギーは、免疫システムの過剰な防衛反応です。アレルギーが発症する前に、アレルギーになりにくい体づくりをすること。健康的な生活習慣がアレルギー予防の基本になります。
例えば、私たちがふだん食べているものにもアレルギーの原因になりやすかったり、免疫バランスを崩すことにつながる食べ物はたくさんあります。
食の欧米化が進んだことで過剰摂取しがちな肉や卵や牛乳、インスタント食品に含まれる砂糖や油、食品添加物などは、消化器官の機能が発達途中の子供では異物と認識してアレルギーが出ることもあります。反対に、日本人が慣れ親しんできた食べ物や環境にはアレルギーが出にくい傾向にあります。つまりは、日本人の子供のアレルギー予防には、お米を中心に、みそ汁、旬の野菜、魚などの和食がオススメといえるのです。
【ポイント】乳酸菌の免疫調整機能に注目!
→ LK-117乳酸菌の免疫調整機能について
②アレルギー検査で原因を知る
人によってアレルギーの原因となるアレルゲンは異なります。子供がアレルギーを発症した時に、アレルゲンが特定できれば、アレルゲンとの接触を避けることでアレルギーを予防でします。ただ、頻繁にアレルギーを起こしていて原因がわからない場合、その原因となるアレルゲンを調べるのがアレルギー検査です。
アレルギーが不安な場合は、このアレルギー検査を受けることもオススメします。検査自体は、生後6ヶ月頃から可能ですが、子供の体にも負担がかかるので、特に気になる症状や不安がないのでは、あわてて受ける必要はありません。アレルギー検査は、皮膚科、内科、小児科、アレルギー科、耳鼻科などで受けることができますが、まずは、かかりつけの病院で相談してみるのがいいでしょう。
③アレルギーを悪化させないようにする
子供がアレルギーと診断された場合は、それ以上悪化させないことが大切です。
なるべくアレルゲンに触れない環境づくりや、食事や睡眠、運動を意識して健康的な生活習慣を意識することが必要です。
また、アレルギーはアレルゲンや体質が直接の原因ですが、ストレスが加わることで悪化することもわかっています。子供は、親との関係や、環境の変化にも敏感で、ストレスを感じます。子供をよく観察してあげることも大切です。また、親のストレスも子供に伝染してしまうので、あまり神経質になり過ぎにないようにしましょう。一人で抱え込まずにパートナーや周りの家族に相談するのもいいでしょう。
まとめ
子供がアレルギーになるかどうは、体質だけでなく生活習慣や生活環境など様々な要因が重なることで決まってくるので、必ずしも防げるものではありません。同じ親から生まれて、同じように育てた兄弟でも、アレルギーになる子とならない子がいます。
なので、アレルギーを予防するために必死になって頑張り過ぎる必要はありませんし、自分を責める必要もありません。もしも子供がアレルギーを起こした場合は、まずはアレルゲンを特定し、その子に合った生活環境を整えてあげることが大切です。