甘酒は、美容や健康への効果から、ここ数年で人気に火がつき爆発的に市場拡大してます。スーパーに行くと、いろいろなメーカーから発売されているのをよく見かけるようになりました。なぜ、こんなにも話題になっているのか?甘酒の人気の秘密と、甘酒に秘められた効果について解説します。
甘酒の美容や健康への効果
雑誌やテレビなどでも注目されている甘酒は、栄養の豊富さから「飲む点滴」とも言われ、美肌やダイエット、便秘対策、疲労回復など美容や健康に効果があることで話題になっています。
そんな甘酒には、種類があるのをご存知ですか?
甘酒の種類
実は、甘酒には「米麹を糖化させて作る甘酒」と「酒粕に砂糖を加えて作る甘酒」の2種類あります。それぞれ、原材料や作り方などが異なります。
大きな異なるのは原材料である「米麹」と「酒粕」で、その違いは日本酒造りの工程で見ると分かりやすいかと思います。
米麹は、米に麹菌の胞子を加えて麹菌を培養させたものになります。日本酒造りにおいて米麹は、酒母やもろみにいれて米のデンプンを糖化していく役割があります。それだけでなく、さまざまな酵素を作り出し、酵素によってビタミンやアミノ酸なども生成されます。
酒粕は、もろみから原酒をしぼり出したあとの残りカスです。この酒粕には、豊富なたんぱく質やビタミン、微生物たちが生んだ酵素及び微生物の菌体そのものが含まれています。
米麹の甘酒 | 酒粕の甘酒 | |
原材料 | 水・米麹 | 水・酒粕・砂糖 |
製造工程 | 水に米麹を投入 ↓ 55~60℃で一晩糖化 ↓ 瓶詰・殺菌 |
水に酒粕を投入 ↓ 加熱して酒粕を溶解 ↓ 砂糖を加えて溶解 ↓ 瓶詰・殺菌 |
香り・甘味 | 麹由来の香り 天然の甘さ |
酒由来の香り 砂糖による甘さ |
アルコール | 0% | 1%未満 |
※溶解・・・溶けること。また、溶かすこと。物質が液体に溶けて溶液となること。
米麹と塩麹の関係
近年のブームで、すっかり調味料の1つとして定着してきた「塩麹」は、実は、「米麹を糖化させて作る甘酒」に塩が加わっただけです。米麹の魅力は、食材と合わせると、発酵して甘味や旨みが増して美味しくなることです。甘酒以外にも、味噌や醤油などさまざまなものに利用されています。
甘酒の効果の秘密
甘酒人気に火がついたきっかけは、アルコール0%で砂糖を使用していない米麹の甘酒の方ですが、このようにどちらの甘酒にもそれぞれに美容や健康への効果が期待できます。米麹の甘酒と酒粕の甘酒、それぞれの効果の秘密についてさらに詳しく見ていきましょう。
米麹の甘酒の特徴と効果
米麹の甘酒の効果の秘密を、米麹の甘酒に含まれている注目の成分ごとに解説します。
- ブドウ糖
- オリゴ糖
- エルゴチオネイン
米のデンプンが糖化されてできるブドウ糖は、小腸からそのまま吸収されるためすぐに体のエネルギーとなります。また、アミノ酸、ビタミン、ペプチドなどの栄養素が豊富に含まれていることから「飲む点滴」と呼ばれ、甘いものが少なかった江戸時内には夏バテ対策としてもよく飲まれていました。
オリゴ糖は、腸内の善玉菌(ビフィズス菌や乳酸菌)のエサになるので、腸内の善玉菌が増えることで整腸作用が期待できます。腸内環境が整うことで、便秘改善や免疫力を高めたりといった様々な健康効果が期待できます。
エルゴチオネインは、アミノ酸のひとつで発見当初から優れた抗酸化作用があることが認められていました。そして、近年その働きについての研究が進み、DNAの酸化損傷や脂質化酸化を抑制する効果などが確認され、肌の老化を抑制する新しい美容成分として注目されています。
酒粕の甘酒の特徴と効果
酒粕の甘酒の効果の秘密を、酒粕の甘酒に含まれている注目の成分ごとに解説します。
- レジスタントプロテイン(難消化性たんぱく質)
- レジスタントスターチ(難消化性デンプン)
- ビタミン類
- α-EG
酒粕には、日本酒の製造工程を経ることでレジスタントプロテインが凝縮された状態で含まれています。レジスタントプロテインには、食事で摂取した脂肪やコレステロールを体外へ排出する作用があります。
レジスタントスターチは、不溶性食物繊維のことで、小腸で糖の吸収を抑え血糖値の上昇を抑制します。また、大腸で善玉菌のエサとなることで整腸作用も期待できます。
酒粕には、ビタミンB1、B2、B6、ナイアシン、葉酸などのビタミンが大量に含まれています。ビタミンB1、B2、B6には、肌のターンオーバーを正常化する作用があるため、新しい角質細胞の生成を促し、美肌を促進する効果が期待できます。
また、葉酸は妊娠中の女性に必須のビタミンで、胎児の発生初期の成長に大きく関わる重要なビタミンです。
不足すると奇形児が生まれる危険があります。
α-EGは、日本酒にも0.5%程含まれている旨味成分ですが、皮膚真皮層のコラーゲン量を増やすことが学術的に実証されています。そんなα-EGは、日本酒のしぼりカスである酒粕にも多く含まれています。また、熱で変質しない特徴もあるので、甘酒にしてもその効果は失われません。
甘酒に乳酸菌は含まれているの?
甘酒には、乳酸菌が豊富に含まれているようなイメージがありますが、米麹の甘酒には、乳酸菌が含まれていたとしてもコンタミ程度で、酒粕の甘酒場合は、生酛づくりという製法でつくられているものに限って乳酸菌菌体成分が含まれています。
※コンタミ・・・コンタミとは、「コンタミネーション(ontamination)」の略で、生物学分野では、特に細胞や微生物などを人工的に培養するときの、雑菌混入のことをコンタミネーションと呼びます。
乳酸菌も豊富!?進化系甘酒が登場!?
基本的に、甘酒には「米麹を糖化させて作る甘酒」と「酒粕に砂糖を加えて作る甘酒」の2種類に分けられますが、最近では米麹と酒粕の両方を用いた甘酒や、甘酒に乳酸菌を加えたものなどが、新たな甘酒が開発され販売され始めています。米麹と酒粕の良いとこどりをすることで、効果だけでなく飲みやすさなどにも変化が。そんな進化系甘酒、これから人気となること間違いなしです。
まとめ
意外に知られていない甘酒の秘密。今回は、乳酸菌ではなく今話題の甘酒にスポットをあててみました。美容や健康に良さそうだからというイメージだけでなく、甘酒にはどんな種類があって、どんな効果があるのかを知ることで、さらに甘酒を楽しむことができるのではないでしょうか。