「くしゃみが止まらない…」「鼻がムズムズして集中できない」「夜も眠れないほど目がかゆい」—。春先の花粉、秋のブタクサ、そして一年中つきまとうハウスダスト。多くの方がアレルギー性鼻炎や花粉症によるつらい症状に悩まされています。
マスクや薬といった「外側からの対策」では症状を抑えるのが精一杯で、根本的な体質改善には至らないと感じていませんか?
近年、アレルギー研究の最前線では、症状を引き起こす免疫の過剰反応を内側から調整する「乳酸菌による体質ケア」が注目されています。特に、日本人の体質に馴染み深い特定の米由来乳酸菌が、アレルギー反応の鍵を握るIgE抗体やTh1/Th2バランスに与える影響について、科学的な知見が深まっています。
この記事では、アレルギー発症のメカニズムを深掘りし、その対策としての乳酸菌の可能性、そして「なぜ米由来の乳酸菌が日本人に合っているのか」を専門的に解説します。
→ アレルギー体質のカギを握る免疫バランスと、米由来乳酸菌の研究に関する詳細はこちら
アレルギー症状の根本原因:免疫細胞の「過剰な暴走」
花粉やハウスダストが体内に入ると、私たちの免疫システムは「異物」と判断し、それを排除しようと働きます。しかし、この反応が過剰になると、くしゃみ、鼻水、目のかゆみといったアレルギー症状として現れます。
アレルギー反応のメカニズム:IgE抗体の役割
アレルギー反応は、主に以下のステップで起こります。
- 感作(かんさ): アレルゲン(花粉、ダニなど)が体内に入ると、免疫細胞がこれに対しIgE抗体を作り出します。
- マスト細胞との結合: 作られたIgE抗体は、全身の粘膜などに存在するマスト細胞の表面に結合し待機します。
- 化学伝達物質の放出: 再度アレルゲンが侵入すると、IgE抗体とアレルゲンが結合し、マスト細胞からヒスタミンやロイコトリエンといった化学伝達物質が大量に放出されます。
この化学伝達物質こそが、鼻や目の炎症、血管の拡張などを引き起こし、つらいくしゃみや鼻水、かゆみといった症状を発生させるのです。つまり、IgE抗体が過剰に作られること、そしてマスト細胞が過敏になることが、アレルギーの根本的な問題と言えます。
腸内環境と免疫の暴走:全身の7割が集中する免疫システム
なぜ、体質改善には「腸」が重要なのでしょうか。それは、私たちの全身の免疫細胞の約7割が、腸管に集中しているためです。
腸内には、善玉菌、悪玉菌、日和見菌が存在し、そのバランス(腸内フローラ)が免疫機能の働きを調整しています。腸内環境が乱れ、悪玉菌が優勢になると、免疫細胞が「敵か味方か」の判断を誤りやすくなり、花粉やハウスダストといった無害なものにも過剰に攻撃してしまう、つまり免疫の「暴走」が起こりやすくなると示唆されています。
腸内環境を整えることは、免疫細胞の判断力を正常に保ち、アレルゲンに対する過剰な反応を穏やかにするための、極めて重要なアプローチです。
注目の米由来乳酸菌による体質改善の可能性
アレルギー症状の根本的な緩和を目指すには、IgE抗体の産生を穏やかにし、免疫バランスを整えるアプローチが有効です。ここで注目されているのが、特定の乳酸菌が持つユニークな働きです。
アレルギー体質のカギ:Th1/Th2バランスとは?
Th1/Th2バランス
免疫細胞の中には、Th1細胞とTh2細胞というヘルパーT細胞が存在します。この2つの細胞は互いにバランスを取り合って働いています。
- Th1細胞: ウイルスや細菌などの異物に対する細胞性免疫を主に担当します。
- Th2細胞: アレルギーやぜんそくなどに関わる液性免疫(IgE抗体の産生)を主に担当します。
通常、Th1とTh2はシーソーのように均衡を保っていますが、アレルギー体質の方の多くは、Th2細胞が優位な状態にあることが分かっています。このTh2優位の状態を是正し、バランスを整えることが、アレルギー症状を根本から穏やかにする重要なポイントです。
米由来乳酸菌(LK-117)によるIgE・バランス調整の可能性
乳酸菌には様々な種類があり、種類によって免疫を刺激する作用が異なりますが、神戸大学・兵庫県工業技術センターとの共同研究で発見された特定の米由来乳酸菌(LK-117)は、アレルギー対策において特に注目すべき働きが示唆されています。
<研究結果の引用・深掘り解説>
- IgE抗体の調整: 研究において、特定の米由来乳酸菌(LK-117)の摂取が、アレルギー反応のトリガーとなるIgE抗体の産生を抑制する可能性が示唆されています。IgEの過剰な生成を穏やかにすることで、アレルギー反応の根本的な引き金を抑制する働きがあると考えられています。
- Th1/Th2バランスの調整: さらに、この特定の乳酸菌株は、過剰に傾いたTh2優位(アレルギー状態)を緩和し、Th1とTh2のバランスを整える方向に働くことが示されています。
この作用は、対症療法として症状を抑える薬とは異なり、アレルギー体質の根本に内側からアプローチする可能性を示すものです。日本人の長年の食文化で親和性が高い「米由来」である点も、継続的な体質改善に役立つ理由と言えるでしょう。
なぜ米由来の乳酸菌(LK-117)が日本人に適しているのか
乳酸菌を選ぶ際、そのルーツが私たちの食文化に根ざしているかどうかは非常に重要です。特定の米由来乳酸菌(LK-117)が日本人の体質に適しているとされる理由を解説します。
日本の食文化と「植物由来乳酸菌」の親和性
LK-117は、植物由来の乳酸菌であり、日本酒の伝統的な製法である「生酛(きもと)」から分離された株です。日本人は古くから、味噌、漬物、ぬか漬け、甘酒など、米や野菜を使った発酵食品を通じて植物性乳酸菌を摂取してきました。
- 食経験の長さ: 長年の食習慣の中で、日本人の腸内環境は、動物性(ヨーグルトなど)よりも植物性、特に米由来の乳酸菌と高い親和性を持つように進化してきたと考えられています。
- 高い耐性: 植物由来の乳酸菌は、塩分濃度や酸性度が高い過酷な環境(漬け物樽など)で育つため、胃酸や胆汁に強く、生きたまま腸まで届きやすい耐性を持つ株が多いという特長もあります。これは、プロバイオティクスとしての有効性に直結します。
このように、特定の米由来乳酸菌は、長年の食文化と科学的知見の両面から、日本人の体質に合ったインナーケアのパートナーと言えます。
注目すべきハウスダスト・化学物質曝露と対策の必要性
アレルギー症状はアレルゲンだけでなく、室内環境中の化学物質も関連している可能性があります。北海道大学などの研究では、特に子どもは床に近い生活を送るため、ハウスダスト中の化学物質やダニアレルゲンの曝露量が大人よりも多く、アレルギーリスクを高める可能性が指摘されています[1]。
<データ引用:子どもの曝露量>
アメリカ合衆国環境保護庁(USEPA)のデータでは、1日のハウスダスト摂取量は大人30 mg/dayに対し、1歳以上の子どもでは60 mg/dayとしており、子どもの方が高い曝露を受けていることが示唆されています[1]。このため、外部環境の改善(掃除や換気)と並行して、内側から免疫の土台を強くする体質改善が特に重要になります。
体質改善の一環として、米由来の乳酸菌は、ストレスや外部環境による影響で乱れがちな免疫バランスを整え、アレルギーの起こりにくい体づくりをサポートする有効な手段となり得ます。
Q&A:アレルギーと乳酸菌に関する疑問
乳酸菌は花粉症だけでなく、ハウスダストアレルギーにも効果が期待できますか?
A. はい、期待できる可能性が示唆されています。花粉症もハウスダストアレルギーも、根本的には免疫システムの過剰反応(Th2優位やIgEの過剰産生)が関わっています。特定の乳酸菌(米由来乳酸菌など)は、この免疫バランスを整える働きが研究で示唆されているため、アレルゲンの種類を問わず、アレルギー体質全般の改善に寄与する可能性があります。
乳酸菌はどれくらいの期間、摂取すれば体質が変わりますか?
A. 腸内環境や免疫システムの改善は、短期間で起こるものではありません。一般的に、腸内フローラを安定させ、アレルギー体質に変化をもたらすには、数週間から数ヶ月の継続的な摂取が重要だとされています。体質には個人差があるため、まずは3ヶ月程度を目安に、日々の習慣として取り入れてみることをおすすめします。
米由来の乳酸菌は、乳製品アレルギーの子どもでも摂れますか?
A. はい、米由来の乳酸菌を原料とする製品は、乳成分を含まないものがほとんどであり、乳製品アレルギーをお持ちのお子様でも摂取しやすいという大きなメリットがあります。ただし、最終製品の製造過程で乳成分が混入していないか、パッケージの原材料表示を必ず確認してください。
まとめ|アレルギーに負けない体質を、内側から育む
花粉やハウスダストによるつらいアレルギー症状は、日常生活の質(QOL)を大きく低下させます。外からの対策に限界を感じているなら、体質を根本から見直す「内側からのインナーケア」に目を向けるべきです。
特定の米由来乳酸菌は、アレルギー反応の鍵となるIgEやTh1/Th2バランスに働きかける可能性が示唆されており、アレルギー体質の根本的な改善をサポートする新しい選択肢です。ご自身の、そしてお子様の健やかな未来のために、ぜひ科学的知見に基づいた乳酸菌の力を、毎日の習慣として取り入れてみてください。
【重要なお知らせ】
※本記事は、一般的な健康情報を提供するものであり、特定の成分や商品の効能・効果を保証するものではありません。また、医師の診断・治療を代替するものではありません。
アレルギー症状が重い場合や、持病をお持ちの方は、必ず医師にご相談の上、適切な診断と治療を受けてください。
主な参考文献・情報源
- [1] 荒木 敦子, 岸 玲子. ハウスダスト中の化学物質・生物学的汚染物質の曝露と居住者の健康影響. 日衛誌, 2018; 73(2): 130-137. (北海道大学環境健康科学研究教育センター ほか)
- [2] 厚生労働省. e-ヘルスネット情報(アレルギー性鼻炎に関する記述).
- [3] 神戸大学・兵庫県工業技術センター・菊正宗酒造株式会社 総合研究所 共同研究成果より(Th1/Th2バランス調整作用、IgE抗体産生抑制作用が示唆されています)。









