例年、冬から春先にかけて流行するインフルエンザ。今年は例年通りの流行傾向に加え、季節外れの流行も見られるなど、特に免疫力が弱い高齢者や小児を持つ親御さんにとって、日々の予防は大きな関心事でしょう。インフルエンザの重症化を防ぐための「負けない身体づくり」は、予防接種や手洗い・うがいと並んで非常に重要です。
実は、私たちの身体の「免疫力」の大部分を司っているのは腸内環境です。この記事では、インフルエンザの傾向と予防の基本に加え、免疫システムの鍵を握る「腸と乳酸菌」の関係を専門家の知見を交えて徹底解説します。特に、アトピーや花粉症といったアレルギーの悩みを持つ方にも役立つ、最新の研究情報にも触れていきます。
本記事のポイント
- インフルエンザの症状は風邪よりも強く、重症化予防のためには「免疫力」の底上げが重要。
- 体内の免疫細胞の約7割は腸に集中しており、腸内環境が免疫力の鍵を握る。
- 乳酸菌は、腸内で免疫バランスを調整し、アレルギー症状の緩和や感染防御力の向上への有用性が示唆されている。
- 日本人に馴染み深い米由来の乳酸菌(LK-117など)には、アトピー、アレルギー、整腸作用への多角的な有用性が示唆されており注目されている。
インフルエンザの基礎知識と重症化リスク
インフルエンザウイルスには主にA型、B型、C型があり、毎年流行するのは主にA型とB型です。インフルエンザは、風邪とは異なり、急激な症状の悪化と強い全身症状が特徴です。
インフルエンザの症状と合併症の懸念
インフルエンザの主な症状は、38℃以上の高熱、頭痛、関節痛・筋肉痛、全身の倦怠感が同時に現れることです。風邪と比較して全身症状が強く、特に体力や免疫力が低下している人では重症化するリスクがあります。
- 小児: まれに急性脳症、熱性けいれん、中耳炎などを併発することがあります。
- 高齢者・免疫力低下者: 肺炎、気管支炎など、命に関わる合併症の心配があります。
インフルエンザ予防の基本:防御と免疫
インフルエンザ予防の基本は、予防接種、手洗い、マスク着用によるウイルスの体内侵入の防御です。加えて、ウイルスに感染しても発症しない、あるいは症状を軽く抑えるための免疫力の維持・向上が不可欠です。
感染経路の種類
インフルエンザは主に以下の経路で感染します。
- 飛沫感染: 感染者の咳やくしゃみによる飛沫を吸い込むこと。
- 接触感染: ドアノブや手すりなどに付着したウイルスに触れ、その手で目・鼻・口に触れること。
手洗いと、人が多く集まる場所でのマスク着用は、これらの感染を防ぐための最も重要なエチケットであり、防御策です。
家族を守る「免疫力」の根源:腸管免疫の専門的考察
ウイルスに負けない身体を作るためには、身体に備わった免疫システムの強化が欠かせません。この免疫システムの中核を担っているのが腸です。
体内の免疫細胞の「本拠地」:腸管免疫(GALT)
免疫学の知見によれば、体内の免疫細胞の約7割は、消化管、すなわち腸管に集中しています。これは「腸管免疫(GALT: Gut-Associated Lymphoid Tissue)」と呼ばれ、外界と直結している口から入ってくる病原体やアレルゲンなどの侵入を常に監視する、身体最大の免疫器官として機能しています。
この腸管免疫が適切に働くためには、腸内に生息する約100兆個の細菌(腸内フローラ)のバランスが非常に重要です。善玉菌が優勢な整った腸内環境は、免疫細胞を適度に刺激し、その機能やバランスを調整すると考えられています。
ストレスと免疫力の低下:腸内環境の乱れ
過度な疲労やストレス、睡眠不足は、自律神経を介して腸の動きを乱し、悪玉菌が増えやすい環境を作ってしまいます。その結果、免疫細胞への適切な刺激が失われ、インフルエンザウイルスなどに対する抵抗力も低下する可能性が示唆されています。
インフルエンザの感染時には、サイトカインが多量に産生され全身に血液を介して流れます。(中略)過剰な放出が脳、肺、筋肉などの毛細血管を障害して炎症を起こさせる(脳症、肺炎、筋肉痛など)。
このような免疫の過剰な反応や、逆に防御力の低下を防ぐためにも、腸内環境を整え、免疫バランスをコントロールすることが大切であると言えます。
免疫バランスを調整する「乳酸菌」の可能性
腸内環境を整えることは、インフルエンザなどの感染防御力向上だけでなく、アトピーや花粉症といったアレルギー症状の緩和にも繋がる可能性が、近年の研究で示唆されています。この免疫調整の鍵を握るのが「乳酸菌」です。
バイオジェニックスとしての乳酸菌の機能
乳酸菌の中には、腸内細菌叢(腸内フローラ)を介さず、免疫細胞に直接働きかけ、体質の改善や疾病の予防・回復に役立つ機能を持つものが存在すると言われています。これはバイオジェニックス(Biogenics)という概念で提唱されており、免疫賦活や抗アレルギー作用など、幅広い有用性が期待されています。
バイオジェニックスとは、光岡知足先生によって提唱された言葉で「腸内フローラを介することなく、直接生体に作用し、免疫賦活、コレステロール低下作用、血圧降下作用、整腸作用、抗腫瘍効果、抗血栓、造血作用などの生体調節、生体防御、疾病予防・回復、老化制御などに働く食品成分」という考え方です。
引用元:乳酸菌の健康と美容LABO|LK-117乳酸菌の秘密
このような機能を持つ進化系乳酸菌を積極的に摂取することは、免疫細胞が適切な応答をできるようサポートし、結果的にインフルエンザやアレルギーに負けない体づくりに繋がると示唆されています。
【研究データ】アレルギーや肌荒れにも有用性が示唆される「米由来の乳酸菌」
日本人の食文化に深く関わる「米」由来の乳酸菌に、近年注目が集まっています。
例えば、伝統的な酒造りの工程(生酛)から分離された特定の米由来の乳酸菌(LK-117乳酸菌など)は、神戸大学・兵庫県工業技術センターとの共同研究により、アトピーや花粉症といったアレルギー症状、さらには整腸作用や感染防御力向上への有用性が示唆されています。
これらの研究は、私たちが日々の食事やサプリメントで摂取する乳酸菌が、単なる整腸作用を超え、体質そのものに良い影響を与える可能性を示しています。特に、アレルギー体質のお子様を持つ親御さんにとって、こうした多角的な有用性が期待される乳酸菌の継続的な摂取は、日々の健康維持の有効な手段の一つと言えるでしょう。
腸内環境を整えて免疫力を高めるための実践習慣
インフルエンザの流行期を乗り切るため、日常生活で「負けない身体」を作るための習慣を取り入れましょう。
| 習慣 | ポイントと期待される作用 |
|---|---|
| 質の高い休養と睡眠 | 免疫細胞の修復・活性化を促し、疲労やストレスによる腸内環境の悪化を防ぐ。 |
| 発酵食品・食物繊維の摂取 | 善玉菌のエサとなる食物繊維や、乳酸菌自体を摂取し、腸内フローラのバランスを整える。 |
| 進化系乳酸菌の継続摂取 | 免疫調整作用が示唆されている乳酸菌を毎日摂り、免疫バランスの安定をサポートする。 |
| 適切な室温・湿度管理 | ウイルスは低温・乾燥に強いため、湿度60%以上、室温25~30℃程度を保つことが推奨されている。 |
まとめ:体の中から備えるインフルエンザ対策
インフルエンザ対策は、単に外部からの防御だけでなく、体の中から免疫力を高める「腸活」が鍵となります。免疫細胞の大部分が集まる腸内環境を整えることは、インフルエンザの重症化を防ぐ可能性に加え、アトピーや花粉症などのアレルギー症状の緩和にも繋がると示唆されています。
日々の生活習慣を見直し、特に米由来乳酸菌のように多角的な有用性が期待されている乳酸菌を積極的に取り入れることで、ご家族全員の健康と免疫力をサポートしていきましょう。
よくある質問FAQ
免疫細胞の約7割が腸にいるのはなぜですか?
腸は口から入る食べ物や異物と常に接しているため、病原菌やウイルスなどの侵入から身体を守るための免疫システム(腸管免疫)が発達しており、体全体の免疫細胞の約7割が集中しているからです。
乳酸菌はインフルエンザ予防に役立ちますか?
乳酸菌は、腸内環境を整えることで、免疫細胞を活性化し、体全体の免疫応答をサポートする有用性が示唆されています。特定の進化系乳酸菌は、感染防御力の向上に繋がる可能性も期待されていますが、予防接種や手洗いなどの基本的な対策も重要です。
アトピーや花粉症と腸内環境は関係がありますか?
はい、深く関係しています。アレルギーは免疫の過剰な反応ですが、乳酸菌による腸内環境の改善は、過剰な免疫応答のバランスを調整する有用性が示唆されています。米由来乳酸菌など特定の乳酸菌には、アレルギー症状の緩和への有用性も期待されています。
LK-117乳酸菌とは何ですか?
LK-117乳酸菌は、日本の伝統的な酒造りから分離された米由来の乳酸菌です。神戸大学・兵庫県工業技術センターとの共同研究により、整腸作用のほか、アトピーや花粉症などのアレルギー症状、感染防御力の向上などへの多角的な有用性が示唆されている注目の乳酸菌です。









