今年も日本でインフルエンザが流行しています。9月の時点でインフルエンザ患者数が例年の同時期に比べて約10倍前後に。インフルエンザが流行している時期は37度台の微熱でも注意が必要です。今年のインフルエンザの症状の特徴や、風邪との違い、検査を受けるタイミングなどを解説します。
今年のインフルエンザの症状や特徴
日本でのインフルエンザの流行は、例年11月下旬~12月上旬に始まり、翌年1月~3月に増加して4月~5月に減少しています。今年は9月の時点で、すでに例年の同時期に比べて約10倍前後にもなっています。
例年通りであれば、1月下旬から2月上旬にかけてインフルエンザA型が流行し、2月中旬から下旬にかけてB型が流行するのですが、今年は、もうすでにB型も流行し始めているようです。
つまり、今年のインフルエンザはA型とB型の両方を注意しなくてはいけないということです。また、予防接種は、どちらか1つの型に対応したワクチンしか摂取できないため、予防接種をしてない方に感染したり、家族でも違う型に感染したり、両方の型に連続して感染してしまうことも考えられます。
現時点での流行傾向としては、幼稚園・保育園・小学校低学年ではB型、小学校高学年・中学生・高校生ではA型が多く、大人はA型もB型も混ざっている状態です。今後は、さらにA型、B型の流行が入り乱れていく可能性があるので注意が必要です。
インフルエンザの症状
インフルエンザの症状は、型によって違いがみられます。
【インフルエンザA型の症状と特徴】
- 38℃を超える高熱
- ものを飲み込むのが困難なほどの激しいのどの痛み
- 関節痛、筋肉痛
- 肺炎を含む、深刻な呼吸器系の合併症
- 脳炎、脳症の合併症を引き起こすことがある
インフルエンザと聞いてイメージする強い症状が出やすいのがA型です。38度を超える高熱、頭痛、咳、くしゃみ、悪寒、関節痛、筋肉痛などの症状が現れ、ひどくなると肺炎や脳症といった重篤な合併症を引き起こします。
一度インフルエンザウイルスに感染すると、回復の過程でそのウィルスに対する免疫が体内に作られますが、A型はウイルスの形をどんどん変えて進化し続けるため、作られた免疫が機能しにくく、流行しやすいのが特徴です。
【インフルエンザB型の症状と特徴】
- お腹の風邪症状に似た下痢やお腹の痛みがある
B型は、発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛などの症状の後に咳、くしゃみ、鼻水といった症状が現れることが多いです。また、発熱といっても37度台の微熱や、下痢や腹痛が症状として現れることもあり、風邪だと思っていたら、実はインフルエンザだったということもあります。
B型インフルエンザは、ウイルスが変化しにくいので一度免疫が作られれば感染しにくくなりますが、ウイルスは不定期に変化するので予防は必要です。
インフルエンザは、1~4日間の潜伏期間を経てから突然、発熱、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛・関節痛などの症状が現れてから、鼻水・咳などの呼吸器の症状が続き、1週間程で軽快します。
37度台の微熱でもインフルエンザの可能性
一般にインフルエンザは、風邪と違って突然高熱がでて、頭痛や関節痛などふしぶしに痛みが出てきます。だからといって、高熱がでなくて頭痛や関節痛などがあまりないからインフルエンザではないとは言い切れません。
実は、体温が37度台の微熱と思われる症状であっても、調べてみたらインフルエンザだったということは多く見られます。また、インフルエンザでも前夜は高熱だったのに、朝起きたら下がっていたり、一時的に熱が下がることもあります。
インフルエンザは、風邪と比べると頭痛や関節痛などの症状が強く出ることが多いですが、必ず高熱が出るとは限りません。
風邪とインフルエンザの見分け方
はっきりいうと、37度台の微熱でもインフルエンザの可能性があると考えると、症状だけで、風邪とインフルエンザを見分けることは難しいです。つまりは、検査をしてみないと分からないということ。
もし、インフルエンザが流行している時期や、身近にインフルエンザに感染した人がいる場合は、37度台の微熱が出ていてるのであれば、念のため検査をすることをオススメします。
しかし、よく考えてみてください。風邪とはどんな病気でしょう。
日本呼吸器学会のHPには、かぜ症候群について以下のように記載されています。
【概要】
一般に鼻腔から喉頭までの気道を上気道といいますが、かぜ症候群は、この部位の急性の炎症による症状を呈する疾患をいいます。時として、この炎症が下気道(気管、気管支、肺)にまで波及していくことがあります。【原因】
かぜ症状群の原因は、80~90%がウイルスといわれています。主な原因ウイルスとしては、ライノウイルス、コロナウイルスが多く、RSウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルスなどが続きます。ウイルス以外では、一般細菌、肺炎マイコプラズマ、肺炎クラミドフィラなど特殊な細菌も原因となります。【発症のメカニズム】
かぜ症候群は、患者のくしゃみなどで飛散する飛沫を介してウイルスなどの病原体が、気道内に入って気道粘膜に付着し、侵入と増殖することから始まるとされています。発症するかどうかは、環境の要因や感染した人の要因によって決定されます。【症状】
自覚症状として鼻症状(鼻水、鼻づまり)、咽頭症状(咽頭痛)が主体で、発熱、頭痛、全身倦怠感などがあります。下気道まで炎症が及ぶと下気道症状(せき、たん)が出現します。【治療】
ウイルス性のかぜ症候群であれば、安静、水分・栄養補給により自然に治癒するためにウイルスに効果のない抗菌薬は不要です。鼻汁を減らす薬、解熱剤などの使用など、いわゆる対症療法を行います。しかし、扁桃に細菌感染を疑わせる分泌物が認められるような場合には、抗菌薬投与が必要になることもあります。引用元:日本呼吸器学会|かぜ症候群
結局は、インフルエンザも風邪も、ウイルスによる病気というのは同じです。
ただし、大きな違いとして以下のようなことがあります。
- インフルエンザウイルス薬がある
- 感染力が強い
- 重症化する場合がある
インフルエンザには、抗インフルエンザウイルス薬があります。この薬は、インフルエンザウイルスを退治するものではなく、インフルエンザウイルスが増えるのを抑える薬になるため、インフルエンザウイルスが増えきってしまう前(発症後48時間以内)に使用しなければ効果はないといわれているため、早めの受診が勧められています。
インフルエンザウイルスは感染力が強いため、学校保健安全法によって、発症が確認されると学校への出席停止が定められています。感染力は、発症してから一週間程度持続しますが、特に発症してから3日程は感染力が強くなると考えられています。
実は、インフルエンザウイルスは、発症する1日前から感染力があるといわれ、インフルエンザウイルスの潜伏期間は1~4日なので、感染した日から感染力を持っている可能性があります。症状が出る前から感染力があると、感染拡大を止めるのは容易ではないことがわかります。
インフルエンザの症状は、免疫の働きが正常であれば1週間程度で治りますが、高齢者や、呼吸器、心臓などに慢性の病気を持つ人では重症化しやすく、気管支炎や肺炎を併発します。最悪の場合は死に至ることも。
また、小児では中耳炎や熱性けいれん、そして非常に危険な急性脳症などに至ることもあります。どうせ風邪だろうと自己判断せずに、早めの受診が重症化させないコツです。
子供は要注意のインフルエンザ脳症
インフルエンザ脳症は、インフルエンザの発症によって起こる免疫異常で、主の5歳以下に発症します。インフルエンザ脳症は、インフルエンザウイルスが脳に入り込むわけではなく、ウイルスに対抗するための免疫が過剰になり脳の組織を破壊してしまう病気です。
インフルエンザ脳症の症状としては、以下のような脳の障害とインフルエンザ特有の様々なものが起こります。
- 高熱(多くは38度以上)
- 頭痛、咳、くしゃみ、悪寒、関節痛、筋肉痛などのインフルエンザの症状
- 痙攣・意識がなくなる意識障害
- 異常行動(おびえ、恐怖、幻覚、幻視、うわごと、突然大声を出す、突然怒り出す)
インフルエンザ脳症は、通常のインフルエンザでは見られない症状がないか注意する必要あり、主に発熱してから48時間以内に起こります。しかし、異常行動があったからといって必ずしも脳症が起きている証拠とは限りません。
インフルエンザ脳症の死亡率は年々下がっていますが、インフルエンザ罹患数が増えると脳症が増える可能性があります。また、脳症を起こすと、15%にてんかんや発達障害などの後遺症が残ることもあり、まだまだ怖い病気であることには変わりないため、インフルエンザの予防と、脳症になってしまった場合の早めの治療が大切になります。
インフルエンザ予防には免疫力がカギ
インフルエンザには予防接種がありますが、予防接種をしたからといって確実に感染しないわけではありません。また、発症してしまった場合、抗インフルエンザウイルス薬がありますが、それはあくまでもウイルスの増殖を抑えるもので、今体内にいるウイルスは自分の免疫力で退治する必要があり、インフルエンザを重症化させないためにも、日頃から免疫力を高めておくことがとても重要です。
免疫力は風邪にも有効
かぜの原因のほとんどはウイルスです。インフルエンザには、抗インフルエンザウイルス薬がありますが、そのほかのウイルス感染には特効薬はありません。世界中どこを探しても、ウイルスが原因の風邪を治す薬はありません。
風邪のときに飲む薬は、ウイルスをやっつけるものではなく、症状を和らげるための物が多く、薬を飲んだからといって風邪が治るわけではありません。症状が緩和され、水分が取りやすくなったり、眠りやすくなったりすることで、体力の回復を助ける程度のものと考えましょう。つまり、風邪をなるべく早く治すためにも免疫力が必要ということになります。
風邪は免疫力で治そう!
「薬剤耐性(AMR)」問題に注目!
細菌やウイルスなどの病原体によって引き起こされる病気のことを「感染症」といいますが、感染症の中でも、細菌が原因で引き起こされる病気に有効なのが、原因となる細菌を殺したり、増殖を抑制したりする「抗菌薬」です。
しかしながら、1980年以降、従来の抗菌薬が効かない「薬剤耐性(AMR)」を持つ細菌が増え問題になっています。耐性菌が増えると、これまでの抗菌薬が効かなくなり、感染、発症しても適切に治療すれば軽症ですんだ感染症の治療が難しくなり、重症化しやすくなり、さらには死亡に至る可能性が高まります。
そんな薬剤耐性(AMR)拡大の原因のひとつとされているのが、風邪をひいた時の抗菌薬の服用です。風邪の原因のほとんどはウイルスで、抗菌薬はウイルスではなく細菌に効く薬あるため、抗菌薬の服用は効果がありません。そのなのに抗菌薬を使うと、ヒトの腸にいる細菌のうち抗菌薬が効く菌だけが死んで、効かない菌(薬剤耐性菌)が生き残ります。生き残った薬剤耐性菌が増えてなんらかの感染症を起すと、抗菌薬が効かない菌なので治療が困難になる可能性も。不適切な処方や服用が薬剤耐性(AMR)拡大につながります。
免疫力を高めるために乳酸菌は有効なのか?
CMなどでも、インフルエンザ予防に免疫力を高める乳酸菌というものがありますが、乳酸菌は本当に有効なのか。
厚生労働省のHPでも、乳酸菌については以下のように記載されています。
乳酸菌は腸内で大腸菌など悪玉菌の繁殖を抑え、腸内菌のバランスをとる役割を果たしています。そして便通の改善だけではなく、コレステロールの低下や免疫力を高めがんを予防するなど、さまざまな働きがあると言われています。最近ではピロリ菌を排除するなど、特徴のある機能を持つ乳酸菌も研究されています。
また、他のページでは乳酸菌を継続して摂取することが健康維持につながると認めていることから、即効性はありませんが日頃から乳酸菌を継続的に摂取することは、免疫力の向上に有効だと考えれられていることは事実です。
菊正宗が発見した進化系乳酸菌LK-117には、免疫調整作用があるためインフルエンザの予防が期待できます。この免疫調整作用について、詳しくはこちらの記事で詳しく説明しています。
まとめ
インフルエンザの感染が疑われる場合は、症状が軽くても早めに検査を受けることをオススメします。また、インフルエンザに感染しても早く治るためには、日頃から免疫力を高めておくことがとても重要です。そうすることで、インフルエンザの予防だけでなく、風邪などの特効薬のない病気の予防につながります。