【結論】腸の不調は単なる一時的な症状ではなく、腸内環境の乱れやストレス、自律神経のバランス不良などが複合的に影響して起こります。腹痛や下痢、便秘の繰り返しは腸の働きそのものが敏感になっているサインであり、原因に応じた食生活・生活習慣の見直しが重要です。また、腸内環境を整える善玉菌を増やすことは症状改善をサポートし、免疫バランスと消化機能を整える助けになります。必要に応じて医療機関で原因の精査を受けることも大切です。
検証:菊正宗酒造 乳酸菌研究開発チーム
研究成果一覧(LK‑117等)
菊正宗酒造総合研究所
皆さん、お腹の調子は良い方ですか?日頃から意識してヨーグルトを摂取したり腸内環境を意識している人は何らかの腸トラブルを抱えているのではないでしょうか。女性なら便秘、男性なら下痢などの腸の不調に悩まされている人は意外に多いです。
「お腹が張る」「ゴロゴロする」「便秘と下痢を繰り返す」……。こうした日常的なお腹の不調は、腸内環境の乱れが原因かもしれません。子どもの成長や大人の健康維持に欠かせない、腸内フローラの整え方と最新の知見を解説します。
なぜお腹の不調は起きるのか?
便秘は、便が長時間腸内に留まっている状態です。この状態が続くと、便に含まれる老廃物が次第に発酵して毒素が排出され、腸内環境の悪化、肌荒れから免疫疾患、ガンなどを引き起こす可能性があるなど、体に様々な影響を与えます。
便秘の場合、便が出ていない日数ばかりが気にされていますが、それよりも便の状態や出方に注意する必要があります。理想的な排便は1日1回、朝に、ニオイが強くない黄色から黄褐色で固すぎす柔らかすぎない硬さの便が、バナナ2~3本分出ることです。
日本内科学会の基準では「3日以上排便がない状態、または毎日排便があっても残便感がある状態」を便秘としています。
便秘の種類と原因
便秘の種類は、主に4つあります。
- 弛緩性便秘(しかんせいべんぴ):弛緩性便秘は、インナーマッスル(体の深部にある筋肉)である腸腰筋のカが落ちることで発生しやすくなります。腸腰筋の力が低下すると、食べ物を消化吸収して運ぶ、ぜん動運動が弱くなってしまうからです。また、腸腰筋以外にも、排便時に使う腸の周りの筋肉も影響しています。弛緩性便秘の場合、残便感や下腹部の膨満(ほうまん)感が生じることもあります。
- 痙攣性便秘(けいれんせいべんぴ):痙攣性便秘は、ストレスなどが原因で自律神経の働きが乱れ、ぜん動運動に影響を与えることで起こります。ぜん動運動は、筋肉の収縮と弛緩で内容物を送るため筋肉の動きが大切ですが、腸の一部で筋肉の痙攣が起こるとその部分が収縮した状態が続き、便が送り出されにくくなってしまいます。排便があったとしても、丸いコロコロとした便になったり、お腹の張りや痛みが出ます。また、腸の収縮した上の部分に溜まった水分によって、便秘の後に下痢を引き起こすこともあります。
- 直腸性便秘:直腸性便秘は、忙しさを理由に便意を感じてもトイレに行かない、外出先にトイレがない、同行者が気になるなどの理由で便意を我慢することが原因となる便秘です。トイレに行きたいという衝動は、便が直腸に入ってきて直腸の壁が伸ばされると、その刺激によって起こる直腸肛門反射(便意のサイン)です。しかし、この反射はすぐに収まってしまうので我慢すれば便意を感じなくなります。この我慢が重なると、直腸肛門反射の感受性が低下して便意が起こらなくなってしまいます。下剤や浣腸の多用も直腸肛門反射を鈍らせる原因になるので注意が必要です。
- 食事性便秘:食事性便秘は、偏った食事や食事制限ダイエットなどで十分に食物繊維や脂肪を摂取できていないことで起こる便秘です。食事制限ダイエットによって、食べ物の摂取量が減ると便の量が減り、大腸のぜん動運動が鈍くなっていきます。また、食べ物が胃に入ると、冑は大腸に信号を送り大腸はそれに反応して便を肛門の近くまで送り出そうとする胃結腸反射を起こすのですが、食事の量や不規則さがこの反射に影響し排便リズムを乱します。
女性に便秘が多い理由
女性に便秘が多い理由としては、女性は男性より筋力が弱く腸を動かすための筋力不足が考えられます。その他、子宮があることで腸が圧迫されやすかったり、生理周期によるホルモンバランスの変化も便秘に影響しているといわれています。また、体の構造として女性は骨盤が広く、骨盤は腸の近くにあるため腸が下がりやすなることもあり、腸の形が不安定になって蠕動運動を起こしにくくなるという理由も考えられます。
さらに、ダイエットなどによる以下の理由も考えられます。
- 筋力の低下
- 食事量の不足
- 食物繊維不足
- 水分不足
これらの理由から、女性の便秘を解決するためには、
- 食物繊維が多い食べ物を摂取する
- 水分をしっかり摂る
- 腹筋を鍛える
ことが基本となります。朝食後は便意が起きやすいので、朝食の摂取とその後の排便を心がけ、過剰なダイエットはできるだけ避けるようにしましょう。
下痢が起こる原因
健康的な便に含まれる水分の割合は80%ほどです。水分の割合が増えると、便が柔らかくなる軟便、90%を超えると下痢とされます。下痢を起こすと、水っぽい便が出て回数が増えるだけでなく、腹痛を伴うこともあります。
下痢の原因は、O-157などの細菌によるものや、ノロウイルスなどのウイルスによるもの、暴飲暴食によるものなどさまざまです。これらの場合は、原因が特定されるのですが日常的に下痢に悩まされるの場合は、細菌感染や病気ではなく、過敏性腸症候群であることがほとんどです。
過敏性腸症候群は、ストレスやプレッシャーなど精神的な不安や緊張がもとで自律神経系に乱れが生じ、腸の運動や消化液などの分泌活動が過剰になってしまうことが大きな原因で、サラリーマンに代表される男性に多く見られます。症状がひどくなると、急にトイレに行きたくなるため電車はすぐに降りれるように各駅停車しか乗れなかったり、外出先で常にトイレの場所をチェックしたり、近くにトイレがないと落ち着かないとなど生活に支障がでることもあります。
過敏性腸症候群の種類と症状
日常的な下痢は病院に行って検査をしても診断がつかないことも多いのですが、放置すると大腸の粘膜に傷をつけて潰瘍(かいよう)の原因になることもあります。過敏性腸症候群の種類は、主に4つあります。
- 下痢便秘交代型:下痢と便秘が複数日間隔で交互に現れます。
- 下痢型:少しでもストレスや不安を感じると下痢をします。サラリーマンに代表される男性に多く見られるのはこの型です。
- 便秘型:便秘が主で、強い腹痛を伴うことが多いです。
- ガス型:腹部膨満感やオナラなど腸管内のガス症状がでるタイプです。国際的分類の中にはないのですが、明確に存在する特徴的なタイプで日本人に多いです。
現実には、各タイプが混ざっていることがほとんどなので、無理にタイプを分ける必要はなく、あくまでも便宜的な分類といえます。
過敏性腸症候群の原因
腸には食べ物を消化・吸収するだけではなく便を排出するぜん動運動という働きがありますが、ストレスなど不安な状態になると運動が過剰になったり、痙攣状態になったりします。それと同時に、痛みを感じやすい状態になります。そのため、過敏性腸症候群の特徴として腹痛になりやすいのがあげられます。過敏性腸症候群には、ストレスが原因で大腸の運動機能が障害される可能性や、刺激を腹痛として感じる脳が過敏になっている知覚過敏説などさまざまな原因が考えられていますが、過敏性腸症候群の明確な原因はいまだ解明されていません。
ただ、細菌やウイルスが原因の腸炎にかかり回復した後に、過敏性腸症候群になりやすいことがわかっています。また、過敏性腸症候群は健康な人に比べて、胃痛や胃もたれ、胸やけや胃食道逆流症を合併する人が多いことも指摘されています。これらのことから、治療においては生活習慣の改善が重視されています。
男性に下痢が多い理由
男性の約3割は、下痢に悩まされているそうです。男性に便秘が多い理由としては、男性はアルコールや冷たい飲み物、脂っこい食べ物を多く食べるので消化不良を起こしやすいということや、オキシトシンというホルモンの関係で男性は女性よりもストレスに弱いことなどが考えられます。また、男性は女性よりも筋力が強いので、腹筋が弱いことで起こる便秘は起こしにくいとも言われてます。
これらの理由から、男性は食生活や生活習慣に気を付けることが大切です。ストレスを感じている方はしっかりと睡眠を摂るようにして、うまくストレスを発散しましょう。
便秘や下痢を解消する腸内環境を整える「3つの柱」
下痢も便秘も理由があって起こります。自分で対応できること、対応が難しいことなどさまざまですが、自分の便に関心を持ち、変化があったら食生活や生活習慣の改善、医療機関の受診を含めて行動に移すことが大事です。
早い改善策としては、下痢を止める止痢剤や腸の状態を整える整腸剤の投与がありますが、下痢や便秘に悩まされている人の腸は、腸内細菌のバランスが悪く、悪玉菌が優勢となっているので、長期的にみて、腸内環境を整えながら、ストレスや生活の乱れの原因についても考えてみる必要があります。

また、最新のガイドラインや知見では、単に特定の食品を摂るだけでなく、多角的なアプローチが推奨されています。
① プロバイオティクス(菌を摂る)
乳酸菌やビフィズス菌など、体に良い影響を与える生きた微生物を直接摂取します。自分に合った菌を見つけ、継続することが重要です。② プレバイオティクス(菌を育てる)
善玉菌のエサとなる「食物繊維」や「オリゴ糖」を摂取します。特に食物繊維は、便の形を整えるだけでなく、善玉菌が短鎖脂肪酸を作る材料にもなります。③ 生活リズムの調整
自律神経は腸の動きを支配しています。決まった時間の食事と睡眠、そして「朝食後のトイレタイム」を確保することが、腸を正常に動かすスイッチになります。腸もみマッサージもオススメ
腸もみは内臓に刺激を与えながら血流を促進する効果や、血流が良くなることで体全体にめぐる血流改善などが期待できます。血流が良くなるので老廃物が流れ疲労感が取れやすくなります。
~腸もみマッサージのやりかた~
マッサージをする体制は仰向けに寝転がった状態か、椅子にゆっくり腰かけた状態が良いです。
① 深呼吸で体の状態を整える。このときなるべく腹式呼吸を意識します。
② おへそから右に約3センチずらした部分から、上に約6センチの部分、次に左に約6センチの部分、そして下に約6センチの部分を、順番に押していきます。
押し方は、左右の人差し指・中指・薬指を合わせて気持ちの良い圧で抑えていきます。これを5~10周行います。
③ 両手で軽い握りこぶしを作り、お腹をさするように右回りに10周、左回りに10周、 これを3~5セット繰り返します。
※押して不快・痛みがある箇所は避けましょう。また、食後や飲酒後、生理中は避けるようにしましょう。
FAQ:よくある質問
- ヨーグルトを食べていれば腸内環境は完璧ですか?
- ヨーグルトは優れたプロバイオティクスですが、それだけでは不十分な場合もあります。エサとなる食物繊維(野菜、海藻、キノコなど)を一緒に摂る「シンバイオティクス」という考え方が、より効率的に環境を整えます。
- 抗生物質(抗菌薬)を飲むとお腹がゆるくなるのはなぜ?
- 抗生物質は原因菌だけでなく、腸内の善玉菌まで一時的に減らしてしまうためです。処方された薬は飲み切ることが大切ですが、副作用として下痢がひどい場合は、整腸剤の併用について医師や薬剤師に相談しましょう。
- 子どものお腹がゴロゴロしやすいのは病気?
- 成長過程で腸が敏感な時期もありますが、腹痛や体重減少、血便などがなければ、多くは腸内環境を整えることで改善します。ただし、心理的な緊張が原因(過敏性腸症候群など)の場合もあるため、様子をよく観察してあげてください。
まとめ:腸内環境を育てるということ
便秘や下痢の原因はさまざまですが、予防としては便秘や下痢になりやすい要因を避けることが大切です。また、お腹の不調を改善することは、単に便通を良くするだけでなく、全身の免疫力や心の安定を守ることにつながります。
重要なのは、一時的な改善に一喜一憂せず、「多様な細菌を育てる」という意識を持つことです。特定の食品に偏らず、食物繊維、オリゴ糖、発酵食品をバランスよく取り入れること。そして、お腹の不調を「体が休息やケアを求めているサイン」として受け止め、生活習慣を見直すきっかけにしましょう。
不調が長引く場合や、急激な症状の変化がある場合は、「いつものこと」と自己判断せず、速やかに医療機関を受診してください。腸の健康は、健やかな毎日の基盤です。
日本人と相性のいい乳酸菌や、便秘と腸内環境について詳しくは以下を確認してください。
▶ 日本人と相性のいい乳酸菌とは?
▶ 便秘と腸内環境・年齢別対策まとめ|子ども・女性・高齢者
本記事は研究結果や一般的な知見をもとにした情報提供を目的としており、医療行為や治療を目的としたものではありません。症状がある場合は医師や専門家にご相談ください。









