肘の内側がかゆいと感じていませんか?もしかしたらその症状は「あせも(汗疹)」かもしれません。気温や湿度が高く日差しも強くなり、汗をかきやすい夏の時期は特に子供から大人までもがあせもができやすくなります。しかし、あせもは夏だけ出来るのではありません。空気が乾燥してくる秋や冬にかけても症状は現れます。意外に知られていないあせもの症状、アトピーとの違いやスキンケアについて解説します。
肘の内側がかゆい原因は「あせも(汗疹)」
肘の内側の皮膚は、比較的やわらかく皮膚炎になりやすい部位といわれています。一般的に、皮膚が痒くなる原因としては、乾燥や紫外線によるダメージや、花粉やダニなどのアレルゲン、汗による刺激などありますが、中でも肘の内側は汗をかきやすい部位なので、汗が原因の可能性が高いです。
汗には、体温を調節したり、皮膚表面の細菌の繁殖を抑制したり、体内の老廃物を排除したり、皮膚の保湿などさまざまな役割があります。しかし、大量の汗をかいてそのまま放置してしまうと、汗に含まれる塩分やほこりなどが汗管を詰まらせ、そこに汗が溜まると汗が周辺の組織を刺激して炎症を起こします。これが「あせも(汗疹)」です。
肘の内側がかゆい原因「あせも」の症状や特徴
あせもの症状といえば、水ぶくれのようなブツブツやかゆみといったイメージがありますが、炎症が生じている部位によって
- 紅色汗疹(こうしょくかんしん)
- 水晶様汗疹(すいしょうようかんしん)
- 深在性汗疹(しんざいせいかんしん)
の3タイプに分けけられます。
- 紅色汗疹(こうしょくかんしん)
- 水晶様汗疹(すいしょうようかんしん)
- 深在性汗疹(しんざいせいかんしん)
一般的にあせもと呼ばれているのが、この紅色汗疹です。紅色汗疹は、皮膚の中の汗管が詰まって炎症を起こしている状態で、皮膚の表面には小さな赤い水ぶくれができます。
症状の特徴は、熱感や強いかゆみを伴う赤い発疹ができ、汗をかくとチクチクとした刺すような痛みを感じたりすることもあります。かゆみを我慢できずに掻いてしまうと、患部から細菌が入りとびひなどの感染症を引き起こしたり、痕が残ってしまうことがあるので注意が必要です。
水晶様汗疹は、乳幼児によくみられるあせもの一種ですが、紅色汗疹に比べて症状は軽いです。水晶様汗疹は、皮膚の表面近くのごく浅い部分に汗が溜まることで小さな水ぶくれのような発疹ができますが、炎症が起きていない状態のため、紅色汗疹のような赤みやかゆみはほとんどはありません。悪化しなければ、患部を清潔に保つことで数日すると治まっていくことがほとんどで、気づかないうちに自然と完治している場合もあります。
深在性汗疹は、熱帯地で多くみられるもので、日本では一般的ではありませんが稀に発症することがあります。深在性汗疹は、紅色汗疹よりもさらに皮膚の深い部分で汗管が詰まって炎症が起こります。これは、紅色汗疹が長期間高温多湿の環境下で悪化し発汗できなくなり、熱中症や動悸、めまいといった危険な全身症状に及んでしまうもので、赤みやかゆみなどはほとんどありませんが、重症度が高く深刻です。
あせもができる原因
あせもは、大量の汗をかいてそのまま放置しておくことでできやすくなります。汗を分泌する汗腺があるのは皮膚の奥深くで、そこから汗管を通って体の表面のある汗孔と呼ばれる出口から汗がでます。大量の汗をかくことで、皮膚の下にある汗管の周りの組織に汗が漏れ出すことで、水ぶくれや炎症を起こします。また、汗をかくだけでなく、通気性の悪い衣類の着用や、包帯やギプス、絆創膏なども汗が詰まりやすい環境をつくってしまうので注意が必要です。
あせもができやすい部位としては、脚の付け根やお尻、頭や首、おでこ、その他、男性であればシャツの襟が密着する首まわり、女性であればブラジャーなどの下着が密着する脇や胸囲など衣類と肌が密着しやすい部位、つまり、あせもは肘の内側だけではなく、汗をかきやすく乾きにくい部位にできやすいということです。
また、アトピー体質だったり、乾燥肌や敏感肌の人は、皮膚を保護するバリア機能が低下しているため、少しの汗でも長時間そのままにしているだけであせもができることもあります。
あせもとアトピーの違い
アトピーも汗をかいて皮膚が刺激されると悪化しやすく、皮膚の状態によってはあせもと区別が付きにくいことがあります。実際に、アトピーとあせもの見分けがつかず悩まれている方も多く、診察を受けた病院によっても診断が異なることがよくあります。これは、「検査の数値が〇〇ならアトピー」というような明確なものがないからです。基本的には、皮膚の状態を見て判断するため、症状がひどい場合はアトピーと判断されてしまうこがあります。
アトピーとあせもの大きな違いは、アトピーは良くなったり悪くなったりを繰り返すのに対して、あせもは、皮膚を清潔にすることで特別な治療を行わなくても数日~1週間で症状が治まるということです。また、アトピーは汗以外にも悪化する原因がありますが、あせもの原因は汗なので、症状が出るのは汗をかきやすく蒸れやすい部位です。そのため、それ以外の部位に症状がみられる場合は、あせもではない可能性が高くなります。
しかし、かゆみを伴うあせもの場合、掻くことによって症状が悪化し長引くこともあるので、掻かないことが大切です。
あせもが原因でアトピーが悪化することも
あせもが原因で肌が敏感な状態になることで、アトピーを発症したり、アトピーの症状が悪化してしまうこともあります。アトピー体質の肌は、皮膚を保護するバリア機能が低下しているため、汗が刺激となりかゆみを感じることがあります。それに加えて、あせもができてしまうとかゆみも強くなるため、アトピーの症状が悪化してしまうのです。
あせもとアトピーはどちらもかゆみを伴う皮膚の炎症なので、皮膚科では同じ薬を処方されることも多いです。そのため、アトピーの悪化を防ぐためには、汗対策のスキンケアも必要です。
汗だけじゃないかゆみの原因は肌バリアの低下
皮膚にかゆみを生じる主な原因は、肌のバリア機能の低下です。肌のバリア機能は、肌の表面にある角質層が、紫外線や花粉、ウイルスなどの外部刺激が体内に侵入するのを防ぐと同時に、体内から水分や油分が蒸発するのを防ぐ役割のことです。
バリア機能が低下している肌は、肌の潤いが保てずに乾燥しています。乾燥した肌は、外部刺激が侵入しやすく敏感に反応し、かゆみを生じやすくなります。肌の乾燥は冬の寒い時期に起こりやすいイメージがありますが、夏もエアコンや紫外線の影響で肌が乾燥しやすくなっているので注意が必要です。
また、肌のバリア機能に必要な栄養は、体内の血液によって運ばれています。そして、その栄養を吸収して血液に送り出しているのが腸です。つまり、肌のバリア機能を正常に保つためには、スキンケアだけでなく腸内環境を整えることも重要です。腸内環境改善が美容に良いといわれるのはそのためです。腸内の善玉菌のひとつでもある乳酸菌は、サプリメントなどからも手軽に摂取できるので、毎日の習慣として始めてみるのもいいでしょう。
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夏の子供の汗と肘の内側のかゆみ
夏になると子供は外で元気に走り回り、たくさん汗をかきます。汗が肘の内側に溜まると、肌が過剰に湿った状態が続き、かゆみの原因になることがあります。
汗が乾かないと、皮膚の酸性マント(マントで覆われているというイメージ)が崩れてかぶれや湿疹を引き起こしやすくなります。特に肘の内側は皮膚がデリケートで、汗でベタついた状態が続くと刺激となり、かゆみを感じやすい部位です。
子供の汗をよく拭き、肘の内側を清潔に
子供が遊んだ後は、汗を拭いて肘の内側を清潔に保つことが大切です。汗でぬれた服も替えさせ、肌を乾いた状態に保つよう心がけましょう。
寝る前には入浴して汗や汚れを落とし、肘の内側を清潔に保つことで、かゆみを防ぐことができます。また、汗が多い時期は肘の内側に保湿剤を塗布するのも効果的です。
肌が弱い子の特徴と注意点
アトピー性皮膚炎や良く湿疹ができる子供は、肌が弱く汗などの刺激に敏感です。このような子供の場合、汗が溜まりやすい肘の内側は特に注意が必要です。肌が弱い子供は、汗をかいた後すぐに拭いて清潔に保つ習慣をつけることが大切です。汗で湿った状態が続くと、かぶれや湿疹が生じやすくなります。
入浴時には清浄な石鹸で丁寧に洗い、汚れを残さないようにしましょう。ボディーソープなどの刺激の強いものは避け、低刺激の製品を使用するのがおすすめです。
保湿ケアも欠かせません。乾燥しやすい肌を保湿することで、バリア機能を維持し、汗の刺激から肌を守ることができます。
このように、肌が弱い子供の場合は、肘の内側への配慮と、適切なケアが特に重要になります。
夏だけじゃない!秋冬もあせもに要注意
つい最近まで暑い!と思っていたのに、気が付いたら気温もぐんと下がり、朝晩は冷え込む秋。
大人は寒ければ着こめるし、暑ければ脱ぐなどの行動がすぐとれますよね。
しかし子どもはそうではありません。
朝着た服装そのままで汗をかき、それが乾いて肌寒い…。
暑かろうが寒かろうが関係ありません。
近年では、高い断熱や気密性によって室内が暖かく快適に過ごせるように変化しており、エアコンやストーブの性能も進化しています。そして、冬の定番である暖かい肌着も色々な種類が販売されています。
室内であれば、そんなに厚着をしなくても十分快適に過ごせる環境であるということですね。
しかし、親は「風邪をひいてしまうのではないか」「特にこのご時世、熱でも出したら大変!」と心配し、つい厚着をさせてしまいがちです。
小学生高学年にでもなれば、自分で調節できるかもしれませんが、赤ちゃんや未就学児はなかなか訴えることができないので、厚着のままで汗をかき、それがあせもへと繋がってしまうのです。
実は、子どもも大人と同じ数の汗腺があることご存知でしたか?
あの小さい体に大人と同じ数ですから、大人以上に汗をかくということ。
スーパーなど買い物に出かけた時に、寒い外に居る時と同じ格好で店内に入り、顔を赤くしている子どもを見かけます。暑くても何も言わず上着を着たままでいるので、熱がこもって暑くなり、汗をかいているのです。
この汗を放置することが肌への刺激となり、冬なのにあせもやかゆみなどの肌トラブルを起こすことに繋がってしまいます。
そして、汗が乾いた時に冷えに繋がり、風邪をひいてしまうことも。
平均体温も大人よりも高いので、時々背中に手を入れて汗ばんでいないか確認してあげてください。
大人は汗をかいていないのに、子どもは汗だくだったなんてことは大いにあり得ます。
もし汗をかいていたら、放置せずにすぐに拭き取ること。肌を傷つけないためにも、ゴシゴシこすらず優しく押さえることがポイントです。
服装の調節がしやすいように、厚手の洋服1枚よりも薄手の洋服を重ね着などで対応するのもオススメです。
重要となるスキンケア対策
まず、あせもを予防するためには汗対策が必要です。
あせも予防の基本は、汗をかいたらこまめに拭き取り、汗をかいたらシャワーを浴びるなどして肌を清潔に保つことです。
石鹸をよく泡立てて泡で体を洗うと良いです。
服も、体が十分乾いてから着るようにすると良いでしょう。
そして、肌のバリア機能を正常に保つための保湿ケアがとても重要です。夏は汗をかくからと保湿は必要ないと思っていたら大間違いです。汗の水分と肌の潤いは別物。しっかりと肌の潤いを保つスキンケアを行いましょう。特に入浴後は、肌が一番乾燥しやすいタイミングです。しっかりと保湿剤を塗って肌を乾燥から守りましょう。
あせもを予防するには、「清潔」と「保湿」がポイントとなります。
なかなか難しいとは思いますが、汗をかかないことが一番。
近年は気温や湿度も高く、すぐに汗をかいてしまう環境になるので、なるべく涼しい部屋で過ごしたり、吸湿性・通気性の良い衣服や寝具を使うように気を付けたいですね。
もし、あせもができたら
汗疹の種類で治療法は変わります。
水晶様汗疹は一過性のものなので、放置しておいても数日で消えてしまうので問題ありません。
しかし、一般的な汗疹と呼ばれる紅色汗疹については、治りにくかったり、炎症がひどくなると家庭でのスキンケアだけでは治まらない場合があります。症状によっては、市販されていない塗り薬や内服を必要とする場合もあるので、病院で診断してもらうのが良いでしょう。
どちらにしても、あせもは何より「皮膚の清潔」が基本です。
薬を使ったとしても、スキンケアを心がけていないと繰り返してしまうことになります。
子供が肘がかゆいと言ってきた場合
子供がかゆいと言ってきた場合、適切な対応が重要です。かゆみの原因や状態によって対処法が異なりますが、まずはかゆみを抑え、かかないことが重要です。
清潔な状態を保つ
まずは清潔な状態を保つことが大切です。軽くシャワーなどで肘を濡らして、かゆみの原因となる汗や汚れを洗い流しましょう。
冷やしてかゆみを軽減
冷やすことで、かゆみを軽減することができます。保冷剤などをタオルで包み、かゆい部分に当ててみましょう。
保湿などを行い様子をみる
冷やすことで、かゆみが治ったら保湿を行いましょう。かゆみがまた襲ってきたら、冷やすを繰り返します。掻いてしまうと、キズとなり保湿した際に、染みたりして痛みが出てしまいます。保湿をする際には、低刺激のものを使いましょう。痒いと思ってしまったら、痒みを意識するあまり「ムズムズ」したり、何度も痒みが襲ってきます。冷やすことを繰り返しながら、気が紛れるまで行うことで、掻いてしまう確率を減らすことができます。
よくある質問
肘の内側がかゆい原因は様々ですが、最も一般的な原因は皮膚の乾燥や湿度の低下によるもの、またはあせもやアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患が考えられます。
かゆみを和らげるためには、保湿クリームやローションを塗布したり、肌を清潔に保つことが重要です。また、かゆみを引き起こす可能性のある刺激物や摩擦を避けることも効果的です。
かゆみがひどく、自己処置が効果的でない場合は、皮膚科を受診することをお勧めします。医師は適切な診断を行い、適切な治療法を提案します。
かゆみを引き起こす可能性のあるその他の要因には、接触皮膚炎、アレルギー反応、虫刺され、ストレス、または特定の食品や薬物の摂取などがあります。
かゆみが続く場合は、かかりつけの医師に相談し、適切な診断と治療を受けることが重要です。長期間かゆみが続く場合は、潜在的な健康問題がある可能性がありますので、専門家のアドバイスを受けることが重要です。
肘の内側のかゆみを和らげる自然療法には、アロエベラやココナッツオイルなどの保湿剤を使用することや、かゆみを抑える効果があると言われるオート麦の浴槽に入ることが含まれます。
かゆみを引き起こす刺激物を避けるためには、摩擦を避けるために緩い衣類を着用し、肌に刺激を与える可能性のある化学物質を含まない製品を選択することが重要です。
肘の内側のかゆみが悪化する場合、赤み、腫れ、熱感、または痛みなどの症状が現れる可能性があります。また、潜在的な皮膚感染症が起こる可能性もありますので、早めに医師に相談することが重要です。
肘の内側のかゆみを予防するためには、適切な保湿ケアや適切な衛生習慣を実践することが重要です。また、かゆみを引き起こす可能性のある刺激物やアレルゲンを避けることも効果的です。
肘の内側のかゆみが長期間続いたり、自己処置が効果的でない場合、または他の症状がある場合は、医師に相談することをお勧めします。
まとめ
肘の内側がかゆい原因となるのは肌のバリア機能が低下しているところに、汗が刺激となっていることも考えられます。
あせもやアトピーに関係なく、肌にかゆみを感じたときは、まずは掻かないことが大切です。そして、悪化や再発させないためにも、汗対策やスキンケアだけでなく、腸内環境を意識することも大切です。体の外側要因を改善しているだけではなく、体の内側のケアは意外に重要となるので、できることから少しずつ始めてみるのがいいでしょう。