乳酸菌が体に良い働きをすることはよく知られいて、最近では、積極的に乳酸菌を摂取しようとする人が増えています。そこで、今回は、意外に知られていない乳酸菌のとりすぎによる体への影響や、副作用についてお話しします。
乳酸菌をとりすぎていないだろうか?と不安の方は、是非読み進めてください。
乳酸菌のとりすぎには注意?!乳酸菌の働きと1日の摂取量
乳酸菌をとりすぎるとどうなるかの前に、まず乳酸菌の働きをご存知ですか?
なんとなく「体に良さそう」なイメージはあるものの、実はあまり知られていない乳酸菌の働き。乳酸菌は、発酵食品や人間を含む動物の消化管、植物の表面など私達の身近にたくさん存在している菌です。まずは、そんな乳酸菌の働きを見ていきましょう。
乳酸菌をとりすぎることの前に、現代人の不調に欠かせない乳酸菌
アトピー性皮膚炎、花粉症、インフルエンザ、便秘・下痢、肌荒れ、肥満、潰瘍性大腸炎、ピロリ菌、高血糖、高血圧、高尿酸値、脂質異常症、歯周病、虫歯、ストレス、うつ状態など、現代人の不調には、すべて腸内の乳酸菌が関係しています。
現代人の不調が増えているのは、人の腸内環境の変化にあります。腸内には、体内に棲む細菌のうち約9割、数にしておよそ100~1000兆個が生息しています。腸内細菌の種類は約1,000種類で、乳酸菌などの善玉菌のほか、悪玉菌、日和見菌と大きく3種類の菌が存在しています。それらは、グループごとに固まって腸壁に広がっている様子がお花畑のように見えることから「腸内フローラ(腸内細菌叢)」と呼ばれています。この腸内フローラの形成パターンは、一人ひとり異なり、原型は3歳までに作られると言われています。そこで作られた腸内細菌の種類は、一生を通じてほとんど変わらないと言われているので、3歳までに作られた腸内細菌たちと一生共同で生活することになります。。
<厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイトより>
菌の数は年齢によって増減はあるものの、菌の種類は一生を通じてほとんど変わらないことも報告されています。
引用:腸内細菌と健康
善玉菌の腸内での働きは、「食べ物の消化吸収の促進」「腸の粘膜に栄養を与える」「ビタミンを合成する」「悪玉菌の影響を抑制」など、腸内環境を良い状態に保ちます。
一方、悪玉菌には、たんぱく質を分解する働きがありますが、増えすぎると食べ物の腐敗を進ませて有毒物質を作り出してしまいます。つまり、悪玉菌も必要であることには間違いないのですが、腸内細菌のバランスがとても重要になります。そして、日和見菌は、善玉菌、悪玉菌どちらにも属さない菌で、腸内に最も多く存在し、腸内環境において優勢な菌に同調します。
例えば、腸内環境が悪化し悪玉菌が優勢な状態になると、日和見菌は悪玉菌に同調し腸内環境がより悪化してしまいます。理想的な腸内フローラのバランスは、善玉菌2、日和見菌7、悪玉菌1だと言われています。
そして、腸内の善玉菌を増やすために欠かせないのが「乳酸菌」です。
日本人の乳酸菌が減少している!?
現代の日本では、食の欧米化が進んだことによる肉類が多くて食物繊維が少ない食事や、過剰に除菌された清潔すぎる生活環境、善玉菌をも殺菌してしまう抗生物質の摂取によって、摂取する乳酸菌の数は減り、腸内の善玉菌が増えにくくなっています。
さらに、幼少期の環境の変化も影響しています。
腸内フローラの原型は3歳までに作られるため、子どもの頃に獲られる乳酸菌がとても重要です。お母さんのお腹にいるとき(胎児)の腸は無菌状態で、母親の産道を通る時に初めて菌が体内に入ります。そして、産まれてからどんどん身近に存在する菌を取り込みながら、腸内フローラを形成していきます。昔は、家にはおじいちゃんやおばあちゃんがいて、ご近所付き合いで人の出入りもあり、たくさんの菌を取り込むことができました。土いじりなども、菌を取り込むいいい機会です。
しかし、今は核家族化が進み人を介して取り込む菌の数が少なく、また積極的に除菌する生活によって、反対に免疫力が落ちてしまうのです。特にアレルギーに関しては、衛生的な環境の整備により、乳幼児期に細菌やウイルスなどの微生物に感染する機会が少なくなったことで免疫バランスが乱れ、アレルギー性疾患が増加傾向にあるとも言われています(衛生仮説)。
乳酸菌って何?
ここまで読んでいただくと、「結局、乳酸菌って何?」って思われたかもしれません。
そもそも、乳酸菌というのは特定の菌のことではなく、糖類を分解して多量の乳酸を作る菌の総称です。乳酸菌といえばヨーグルトをイメージされる方も多いですが、乳酸を作る菌は、ヨーグルトに含まれている乳酸菌に限らず自然界に広く存在し、数千種類以上あると言われています。また、乳酸菌の種類によって特性も異なります。
多くの企業では、「どの乳酸菌が何に効くのか」といった研究を進めています。 最近、「機能性ヨーグルト」という、特定の乳酸菌を培養したヨーグルトがとても増えています。これは、各企業が乳酸菌の効果をひとつひとつ検証し、各菌の特性を最大限に活かして商品化したものです。 乳酸菌を含む食品は、キムチやチーズ、味噌、醤油などもいろいろありますが、機能性ヨーグルトや乳酸菌サプリメントなどの、乳酸菌の機能を活かしたもの(明確に実証されているもの)がおすすめです。
結局、乳酸菌をとりすぎても大丈夫?
機能性ヨーグルトに乳酸菌サプリなど様々な乳酸菌関連商品が販売されていますが、そこで気になるのが乳酸菌の適切な摂取量についてです。
乳酸菌は、栄養素でもないので全く摂取しなくても栄養不足になることもないため、摂取量に決まりはありません。また、大量にとりすぎても腸に留まることはなく2~3日で排出されます。乳酸菌は、そもそも人の腸内にも存在するので副作用もありませんし、とりすぎによる問題もありません。
乳酸菌をとりすぎた時に起こる問題とは
先ほど、「乳酸菌は取り過ぎてたとしても副作用も問題もない」とお伝えしましたが、では乳酸菌が腸内に長く留まってくれないのなら、その分多く摂れば体にはいいんじゃないの?と思ってしまう方もいらっしゃるかもしれませんね。
しかし、それはオススメしません。
なぜオススメしないかと言うと、乳酸菌が入った食品を食べ過ぎた時に、物によっては栄養素や糖分、塩分などを過剰摂取してしまう可能性があるからです。
例えば、乳酸菌といえばコレ!と言っても過言ではないくらい有名なヨーグルト。
ドリンクタイプも販売され、食べやすいし飲みやすいので、毎日欠かさず食べたり飲んだりしている人も多いと思います。400gの大きいヨーグルトを1日で1パック食べる…なんて人もいらっしゃるとか。
しかし、加糖のヨーグルトには大量の砂糖が入っていること、ご存じでしたか?
商品の裏側に書かれている栄養成分表示には「糖質」という表記はありません。
では、どこに糖質が載っているかというと、「炭水化物」というところがそれにあたります。
炭水化物は糖やデンプンなどの総称なので、表示されている数字が全て砂糖というわけではありませんが、糖分であることには変わりはありません。
食品の中に入っている砂糖の量は、
「全体量」÷「単位量」×「炭水化物の量」=全体の砂糖の量
で計算できます。
100g当たり炭水化物が11.3g入っている400gの食品だった場合、上記の計算式に当てはめると、400g÷100g×11.3g=45.2g つまり、400g全て食べてしまうと、45.2gの糖質を摂取するということになります。45.2gと言われてもあまりピンと来ませんが、スティックシュガーが1本3gなので、約15本と同じになるというわけです。
コーヒーを飲む時には1本しか使わないスティックシュガーを15本となると、相当量の砂糖を摂取していることになります。甘さは温度や状態によって感じにくくなるなるので、食べている間は、その糖類の過剰摂取に気づきづらいのです。
味噌などの発酵食品も同じです。大量に摂取することで、塩分摂取量が増えます。
健康を気遣うつもりが、思わぬところで高血圧や糖尿病などの生活習慣病へと繋がってしまっては本末転倒です。
つまり、乳酸菌の摂取量より、食品の適切な摂取量を意識することのほうが重要だということですね。
乳酸菌の1日の摂取目安量は?
乳酸菌の1日の摂取目安量は、製品の種類や個人の体質によって異なります。一般的に、食品表示に記載されている摂取目安量を守ることが大切です。
摂取目安量に個人差がある理由
年齢: 小児や高齢者など、年齢によって必要な栄養素は異なります。
性別: 性別によっても、基礎代謝量やホルモンバランスが異なるため、必要な栄養素は異なります。
健康状態: 疾患を持っている方や、妊娠中、授乳中の方は、健康な方とは異なる栄養要求があります。
過剰摂取のリスク
乳酸菌を過剰摂取すると、上記で述べたような健康被害のリスクが高まるだけでなく、食品に含まれる糖分や脂肪などの摂取量が増え、肥満や生活習慣病のリスクも高まる可能性があります。
乳酸菌をとりすぎても、そもそも意味がない
乳酸菌をたくさん摂りたいと言う方の背景には、乳酸菌をとることで腸の乳酸菌量が増えると思われている方も多いのではないでしょうか?
ただ、それは間違いです。
そもそも腸には多くの細菌がいますが、いくら乳酸菌を新しく摂ったとしてもそれが土着することはありません。腸内フローラの形成パターンの原型は3歳から形成されますが、その時代から長く住み着いている強い菌に、新しく摂取した乳酸菌が勝てるはずもなく、ただ長く住み着く菌のエサとなるだけなのです。長年住み着きあなたと共にしてきた菌たちと、新入りの菌では力の差は歴然なのです。ですので、乳酸菌を多く摂ってもエサとならない乳酸菌は、ただ腸を流れ最終的には便と一緒に排出だけです。腸の乳酸菌量を増やしたいと思って、乳酸菌をとりすぎたとしても意味はないのです。
乳酸菌は量よりも毎日続けること
乳酸菌の効果を期待するのであれば、大量に摂取するのではなく、毎日取り続けることの方が大切です。摂取した乳酸菌は、腸内で善玉菌を増やすために活躍してくれますが、腸内フローラの原型は3歳までに作られているため腸に定着することはなく数日で排出されてしまいます。また、一度に大量に摂取しても、すぐに効果が出るわけではありません。毎日継続的に取り続けて、腸内に乳酸菌がいる状態を保つことで腸内の善玉菌が増え、少しずつ腸内環境が改善されていきます。
乳酸菌を毎日摂ることで免疫も高まる
乳酸菌をとることで、腸内環境を良くすることが可能になります。それが結果的に免疫を高めることに繋がります。免疫を高めることは、人にとって重要なことです。
人のカラダの免疫細胞の約7割は腸管に集まっていると言われています。悪い環境下で植物を育てると植物が育たないように、腸の健康が悪くなると、免疫のチカラも徐々にバランスを失ってしまいます。また、寝不足、過度な食事、ストレスなど様々な普段の影響が、ドンドンと免疫力を低下させ、その結果ウィルスなどが悪さをしてしまうことになります。
だからこそ、バランスの良い食事や睡眠、また乳酸菌を適度に摂取することを通じて、腸の健康を良くすることは、免疫を高めることに繋がるのです。
子供は毎日乳酸菌を摂っても問題ないの?
しかし、子供に毎日乳酸菌を摂取させるのはどうなのでしょうか。
とある企業が実施したアンケート調査(3~12歳の子供を持つ親約3700人が対象)によると、乳酸菌を毎日摂らせているという割合は、全体の6割を超えていました。
しかし、大人と子供では体格も内臓の成長具合も違うので、乳酸菌が良いとはいえ、毎日摂取させて大丈夫なの?との不安もあるかと思います。
結論から言うと、子供も乳酸菌を毎日摂取しても大丈夫です。
ただ、乳酸菌の摂取量が多くなることが問題なのではなく、別のところに問題が。
乳酸菌といえば、子供も喜ぶ乳酸菌飲料やヨーグルトなどがありますが、糖分が非常に高いのが気になるところです。
例えば、小さい乳酸菌飲料1本で、7.5gもの糖分を含んでおり、スティックシュガー2.5本分の糖分を摂取していることになります。
乳酸菌が体に良いとはいえ、これだけの糖分を毎日摂取することは、肥満や虫歯にも繋がり兼ねません。
その他に、乳酸菌には整腸作用があるものが多いので、多く摂取することでお腹の調子が悪くなることがあります。
これは、乳系の乳酸菌を摂取した時に見られる症状(個人差があります)です。
ヨーグルトなどの乳製品を摂取すると、「お腹が痛い…」と訴えるお子様もいらっしゃるのではないでしょうか。
このようなことを気にせず摂取できるほうが、親としては安心ですよね。
そんなものあるの?と思いますが、日本人にピッタリな安心して子供にも飲ませられるものが「米麹甘酒」なのです。
乳酸菌が豊富で、米由来なので安心、砂糖が入っていないのに、ほんのり優しい甘みで、毎日飲んでも問題なし!です。
まとめ
乳酸菌は、体に良いイメージはありますが、ただ単に大量に摂取すれば良いというわけではありません。また、薬や栄養素ではないので、すぐに効果が出るものではありません。乳酸菌が体内でどのような影響を与えているかを知ることで、乳酸菌を継続的に摂取することの方が重要だということを理解してもらえたのではないでしょうか?
日本には、乳酸菌を多く含む「発酵食品」がたくさんあります。味噌や漬物、納豆など日本固有の食として受け継がれています。
人の腸内環境は、年齢を重ねると善玉菌が減り、悪玉菌が増えやすくなります。長く健康な体でいるためには、腸内環境を日々の生活から意識してみることをおすすめします。
よくある質問
乳酸菌をとりすぎると、下痢や胃もたれ、ガスなどの消化器系の副作用が出る可能性があります。乳酸菌は腸内環境を整える働きがありますが、過剰に摂取すると腸内の菌のバランスを乱してしまう恐れがあるためです。
乳酸菌の適正摂取量は個人差があります。商品のパッケージに記載された使用量を守ることが大切です。
乳酸菌をとりすぎた際の主な症状は、下痢、腹痛、ガス、膨満感などです。重症化すると発熱やけいれんを伴う場合もあります。個人差がありますが、体の免疫力が低下している方は特に注意が必要です。
腸内には100兆個以上の菌が共生していますが、乳酸菌の過剰摂取により、この菌叢のバランスが崩れてしまいます。結果として有害菌が増殖したり、便秘や下痢などの症状が出る可能性があります。適量を守ることが腸内環境を整える上で重要です。
乳酸菌をとりすぎてしまった場合は、まず服用を中止し、体内から乳酸菌を排出するのを待つ必要があります。水分を多めに取り、食物繊維の多い食べ物を選んで腸内環境を整えましょう。症状が改善しない場合は医師に相談するのが賢明です。