「子どもが乳酸菌飲料を何本も飲んでしまった」「毎日あげているけれど、摂りすぎで体に悪影響はない?」
良かれと思って取り入れている乳酸菌も、いざ「飲み過ぎ」の状態になると、下痢や腹痛が起きないか不安になりますよね。
結論から言うと、乳酸菌は基本的に安全ですが、子どもの未熟な腸においては「量」と「糖分」の重なりが一時的な不調を招くことがあります。
・どれくらい飲ませても大丈夫?
・何日続いたら体調不良?
・もし下痢・腹痛が出たらどう判断すべき?
本記事では、専門研究チームの知見をもとに、子どもが乳酸菌を摂りすぎた際の即断基準と、親ができる正しい対処法を解説します。

「乳酸菌って体にいいはずだけど、飲み過ぎて逆に腸が弱くなったりしない?」
「お腹がゆるくなったのは、乳酸菌のせい?」
そんな不安を整理するために、まずは「摂りすぎ」で起こりうるサインを確認しましょう。
結論から言うと、乳酸菌そのものが原因で重い副作用が起こることは、一般的にはほとんどありません。
ただし、摂取量や食品の種類によっては、一時的にお腹の不調などが起こることがあります。
本記事では、乳酸菌研究の知見をもとに、
「どんな症状が起こりうるのか」「心配しなくていいケース・注意すべきケース」
を整理して解説します。
「副作用」とは何か? — 乳酸菌の場合の考え方
多くの人が「副作用」という言葉を聞くと、薬を思い浮かべるかもしれません。
医療の現場では「ある目的の効果とは別に、意図しない悪影響が出ること」を
副作用と呼びます。一方で、乳酸菌は多くの場合「食品」です。
そのため、乳酸菌の摂取による体の変化は、医学的に定義された「副作用」と
言えるほどの薬理作用ではありません。しかし、日常的に起こる不快な反応を
「副作用」と感じる人が多いため、本記事では
「乳酸菌摂取によって体調が乱れる反応=一般的な意味での副作用的な反応」
として、読者の視点で整理して解説します。
本章以降では、医薬品の副作用と区別しながら、乳酸菌摂取に関連する
症状や考え方を丁寧に説明していきます。
乳酸菌そのもの vs 乳酸菌を含む食品の影響
乳酸菌そのもの(菌体)は腸内で定着せず、基本的に毒性や慢性的な副作用を引き起こすものではありません。一方で、乳酸菌を含む食品には乳糖や糖分、塩分、脂肪などが含まれており、これらが過剰に摂取されると、消化器症状や体調不良に繋がる可能性があります。
例えば、加糖されたヨーグルトや乳酸菌飲料を多量に摂ることで、糖質の過剰摂取による腹部不快感や下痢が起こる場合があります。このようなケースは「乳酸菌自体の作用」とは異なる食品成分側の影響と捉えるべきです。
子どもが乳酸菌を「飲み過ぎる」とどうなる?
乳酸菌自体に毒性はなく、深刻な中毒症状を引き起こすことは考えにくいですが、以下のような一時的な消化器症状が現れることがあります。
- 下痢・軟便: 善玉菌が急増することで腸のぜん動運動が活発になりすぎたり、水分が腸に引き寄せられたりして便が緩くなることがあります。
- 腹部不快感(お腹の張り): 菌が腸内で発酵を進める過程でガスが発生し、お腹がゴロゴロしたり張ったりすることがあります。
見落としがちな「糖分」による影響
乳酸菌飲料を飲み過ぎた際の下痢は、菌そのものよりも「糖分の過剰摂取」が原因であるケースが多々あります。
乳酸菌飲料に含まれる多量の砂糖や糖分を一度に摂ると、腸内の浸透圧が高まり、水分が腸内に溢れ出すことで「浸透圧性下痢」を引き起こしやすくなります。特に子どもは消化能力が未発達なため、この影響を強く受けます。

なぜ子どもは影響を受けやすいのか
1. 腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)が未完成
腸内フローラの原型は3歳までに作られると言われています。この時期の腸内環境は非常にデリケートで、外部から入ってくる菌や糖分に対して過敏に反応しやすく、急な多量摂取が刺激となってしまいます。
2. 摂取の「重なり」によるリスク
朝食にヨーグルト、おやつに乳酸菌飲料、さらにサプリメント……といった「乳酸菌の重複」は、同時に「糖分の累積」も招きます。親御さんが意識している以上に、子どもの小さな体には負担がかかっている場合があります。
どの状態になったら「飲み過ぎ」と判断する?(即断基準)
以下の症状が見られたら、一旦摂取を控え、状況を観察してください。
- 下痢や軟便が2〜3日以上続いている
- 乳酸菌飲料は1日2本以上を継続して飲んでいる
- 発熱・嘔吐を伴う
- 1日に何度も甘い乳酸菌飲料を欲しがる(糖分過多の懸念)
- ぐったりして水分が取れない
特に下痢との関係については、
▶ 乳酸菌で下痢になる原因と対処法
「大人にとっての1本」と「子どもにとっての1本」は違う
市販の乳酸菌飲料は、基本的に大人(体重50〜60kg程度)が飲むことを想定して「1本」のサイズが決められていることが多いです。これを体重10〜15kgの幼児が飲むとどうなるでしょうか。
体重あたりの摂取量で換算すると、大人が一度に3〜4本飲むのと同じ負担がかかっている計算になります。
これは乳酸菌の数だけでなく、そこに含まれる糖分や冷たい水分も同様です。
大人が100ml飲むのと、子どもが100ml飲むのでは、体へのインパクトが全く異なります。
「1日1本までなら良い」と本数で管理するのではなく、「この子の体重なら、大人の半分(または3分の1)が適量かもしれない」という視点を持つことが、飲み過ぎを防ぐ最も有効な手段です。
知っておきたい「乳酸菌飲料」の糖分量
健康を気遣うつもりが、思わぬところで糖分過多になっては本末転倒です。飲料に含まれる糖分量を計算する習慣を持ちましょう。
砂糖の計算式:
「全体量」÷「単位量」×「炭水化物の量」=全体の砂糖の量
例:100g当たり炭水化物11.3g入っている400gの加糖ヨーグルトの場合、45.2g(スティックシュガー約15本分)もの糖分を摂取することになります。
症状が出たときの正しい対処法
- 一時的に摂取を中止: 原因と思われる飲料や食品を止め、腸を休ませます。
- 水分補給は「甘くないもの」で: 下痢のときは水分が必要ですが、乳酸菌飲料ではなく、湯冷ましや麦茶を選びましょう。
- 再開は少量ずつ: 便の状態が戻ったら、以前より量を減らして再開します。
「生きた菌」の刺激と「殺菌乳酸菌」の使い分け
「生きたまま腸に届く」というフレーズは魅力的ですが、活発に活動する生菌(プロバイオティクス)は、酸を作り出したりガスを発生させたりするため、敏感な子どもの腸には刺激が強すぎることがあります。
その一方で、近年注目されているのが「加熱殺菌済みの乳酸菌(死菌)」です。
死菌は腸内で発酵活動を行わないため、ガスによるお腹の張りや、急激な酸の変化を起こしにくいという特性があります。しかし、菌体の成分そのものが腸のスイッチ(免疫センサー)を押す役割を果たすことは研究で分かっています。
- 生きた菌: 腸内環境が安定している時に取り入れるのがおすすめ。
- 殺菌乳酸菌: お腹がデリケートな時期や、初めて乳酸菌を試す際の「導入」として調整しやすい。
どちらが優れているかではなく、お子さまの腸の強さや体調に合わせて使い分ける視点が、無理のない継続のコツです。
研究視点から見た「適切な乳酸菌との付き合い方」
乳酸菌は「量」よりも「毎日続けること」が大切です。一度に大量に摂っても、定着せずに排出されてしまいます。
私たちの研究においても、大切なのはお子さまの体質に合った菌を、無理のない量で継続し、腸内環境を穏やかに整えていくことだと考えています。
子どもの乳酸菌摂取や腸内環境、免疫との関係については、菊正宗酒造乳酸菌研究開発チームによる研究背景ページで詳しく解説しています。
乳酸菌の安全性は高いものの、正しい知識を持つことが安心につながります。
効果・選び方・定着性まで含めて理解したい方は、
▶ 乳酸菌・プロバイオティクス完全ガイド
も参考にしてください。
日常的に摂取する場合の安全性については、
▶ 乳酸菌を毎日摂っても大丈夫?
まとめ:「飲み過ぎ」の正体を知れば、怖くない
「乳酸菌を飲み過ぎてしまった」と焦る時、その本質的な原因は乳酸菌そのものの害ではなく、「小さな体に対して、量や糖分、あるいは菌の活性がキャパシティを超えていた」という点にあります。
親御さんが持つべき判断基準は、以下の3点に集約されます。
- 量の相対性: 「1本」ではなく、子どもの体重に合わせた量に調整する。
- 成分の確認: 菌だけでなく、糖分や添加物の影響を考慮する。
- サインの観察: 下痢やガスは「今は休むべき」「量を減らすべき」という体からの明確なメッセージと捉える。
乳酸菌は、正しく付き合えば子どもの成長を支える心強いパートナーになります。一度下痢になったからといって完全に遠ざける必要はありません。
「この子にはこの量、この種類が合っているかな?」と、実験するような気持ちで、焦らずゆっくりと、お子さまにぴったりのペースを見つけてあげてください。
乳酸菌を安全に続けるために関連記事も参考にしてください:
FAQ
まとめ
乳酸菌は子どもの健康をサポートする強い味方ですが、「たくさん飲めば良い」というわけではありません。特に乳酸菌飲料は糖分も多いため、適切な量を毎日コツコツ続けることが、将来の健やかな腸内環境づくりに繋がります。









