厚生労働省の国民生活基礎調査で、女性の自覚症状の第1位、男性の第2位を占める「肩こり」は、まさに現代の国民病です。特にデスクワークや育児・家事に追われる親御さん世代にとって、「揉んでもすぐに戻る」「いつも肩が重い」といった慢性的な症状は深刻な悩みでしょう。
肩こりの直接的な原因は「筋肉の疲労」と「血行不良」ですが、その背景には、ストレスや姿勢の悪さによる自律神経の乱れが深く関わっています。そして近年、この自律神経の調整や慢性疲労の解決に、「腸内環境」が重要な鍵を握っていることが専門家の研究から示唆されています。
なぜ「慢性肩こり」は負のスパイラルに陥るのか?
マッサージやストレッチで一時的に和らいでも、すぐに肩こりが戻ってしまうのは、根本的な疲労が解消されていないからです。
疲労物質と「疲労回復因子FR」の働き
筋肉を酷使すると、「疲労因子(Fatigue Factor, FF)」というタンパク質が増え、筋肉細胞が酸化(錆び)て硬質化し、肩こりや痛みが起こります。このFFに対応し、酸化された細胞を修復するのが「疲労回復因子(Fatigue Recover Factor, FR)」です。
しかし、現代の忙しい生活では、FRによる修復が追い付かないうちに再び筋肉を酷使してしまうため、疲労が蓄積し、慢性的な肩こりという負のスパイラルが生じてしまいます。
驚きの事実:疲労回復因子は「腸内」で生成される
この肩こりの負のスパイラルを断つ鍵となる「疲労回復因子FR」は、実は腸内環境と深く関わっています。専門家の知見では、疲労回復因子FRは「腸内」で生成されることが示唆されています。
つまり、単に肩を揉むだけでなく、「腸内環境を整える」ことが、FRを増やし、筋肉細胞の修復を促すための根本的な解決策の一つになる可能性を秘めているのです。
腸内環境の乱れが肩こりを悪化させる二つのメカニズム(深掘り解説)
腸内環境の乱れは、前述の「疲労回復因子FR」の生成を妨げるだけでなく、肩こりの主要な原因である「自律神経の乱れ」にも大きく影響します。
腸と脳の密接なネットワーク「腸脳相関」
腸は「第二の脳」とも呼ばれ、脳に次いで多くの神経細胞が存在します。脳と腸は、自律神経を介して密接に情報をやり取りしており、このネットワークを「腸脳相関」と呼びます。
- ストレス(脳の緊張):精神的なストレスが強いと、交感神経が過敏に働き、血管が収縮して血行不良を招き、肩こりを悪化させます。
- 腸の不調(リラックスの欠如):腸の働きが低下すると、自律神経の切り替え(交感神経と副交感神経のバランス)がうまくいかなくなり、リラックス神経(副交感神経)が優位になりにくくなります。
【専門家からの考察】
あん摩マッサージ指圧師の沓脱 正計先生らの研究では、日本の肩こりは欧米のneck painに比べ、心理社会的なストレスとより強い関連が認められると考察されています。これは、ストレスによる交感神経の緊張状態が肩こりの発症メカニズムに深く関与していることを示唆しており、自律神経のバランスを整える腸活の重要性が裏付けられます。
腸内細菌による自律神経の調整の可能性
腸内環境が整っている状態、すなわち腸内細菌の多様性が保たれている状態は、過剰なストレス応答を抑制し、自律神経のバランスを調整する可能性が研究で示唆されています。乳酸菌(プロバイオティクス)の継続的な摂取は、この「腸内細菌叢の多様性」を保つ上で有効な手段の一つと言えるでしょう。
慢性的な悩みに寄り添う「米由来乳酸菌」の可能性
腸活を通じて「疲労回復因子FR」の生成をサポートし、自律神経のバランスを整えるためには、毎日の食生活に乳酸菌を積極的に取り入れることが推奨されます。
体質に合った乳酸菌選びと「米」の力
乳酸菌には数多くの種類があり、その効果や相性には個人差があります。どの菌が自分に合っているかを見つけるためには、一定期間(例:1ヶ月)継続して摂取し、体調の変化を確認することが重要です。
特に日本人の食文化に根付いた「米由来の乳酸菌」は、近年注目されています。菊正宗では、長年の研究を通じて、米をエサにして育つ独自の乳酸菌(LK-117株)を発見し、研究を進めています。
【LK-117】免疫調整作用が示唆される米由来乳酸菌
この米由来乳酸菌(LK-117)は、神戸大学・兵庫県工業技術センターとの共同研究において、アトピーや花粉症、アレルギー症状といった免疫に関わる悩みへの有用性が示唆されるなど、幅広い健康効果が期待されています。これは、腸に集まる免疫細胞に働きかける免疫調整作用の可能性を示しており、腸内環境を根本から整える上でも重要な役割を果たすことが推察されます。
慢性的な肩こりと関連するストレスや自律神経の乱れの背景には、体の慢性的な炎症や免疫バランスの乱れが潜んでいることも少なくありません。米由来の乳酸菌を日々の生活に取り入れることは、体の中から健康の土台を築き、結果として肩こりなどの日常の悩みの軽減につながる可能性を秘めています。
肩こり改善のための総合的なアプローチ
乳酸菌による腸活に加え、肩こりの直接的な原因である血行不良と筋肉の緊張を緩和するためのアプローチも重要です。
血行改善と自律神経調整のための生活習慣
- 適度な運動とストレッチ:肩甲骨を大きく動かす運動(例:ラジオ体操、水泳など)は、僧帽筋周辺の血流を促し、筋緊張を緩めるのに役立ちます。(出典:河北総合病院 鎌田 孝一院長の見解より)
- 温熱療法:ぬるめのお風呂への入浴など、温熱療法は筋緊張をほぐし、血行を良くします。
- 正しい姿勢と休憩:長時間のデスクワークやスマホの使用時は、正しい姿勢を意識し、1時間に一度は休憩して体を動かしましょう。
- 十分な休養:疲労回復因子FRの生成を促すためにも、質の良い睡眠と休養を確保し、交感神経の緊張状態を鎮めることが大切です。
まとめ:腸活で「負のスパイラル」を断ち切る
「揉んでも治らない」「慢性的な疲れ」からくる肩こりの悩みは、腸内環境の乱れによる「疲労回復因子FR」の不足や自律神経のアンバランスが根本にある可能性があります。腸を整える腸活は、ストレスに負けない体と、疲労回復を促す土台を作るための有効な手段です。
日々の生活に米由来の乳酸菌(LK-117)を取り入れ、体の内側から健康をサポートすることで、肩こりや慢性的な疲労の負のスパイラルを断ち切り、より快適な毎日を目指しましょう。
→ アレルギーへの有用性が示唆される、米由来乳酸菌「LK-117」の研究情報を詳しく見る
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よくある質問(Q&A)
なぜ腸内環境を整えると肩こりが楽になるのですか?
肩こりの根本原因の一つは、ストレスによる自律神経の乱れと、疲労物質の修復が追いつかないことです。疲労回復に必要な「疲労回復因子FR」は腸内で生成されることが示唆されており、腸内環境を整えることで、このFRの生成をサポートし、自律神経のバランスを整える効果が期待できるからです。
乳酸菌はどれくらいの期間摂取すれば肩こりに変化がありますか?
乳酸菌による腸活は、腸内フローラを徐々に改善するものであり、即効性はありません。効果を実感するには個人差がありますが、一般的に、最低でも1ヶ月間は継続して摂取することが推奨されています。
米由来の乳酸菌は、他の乳酸菌とどう違うのですか?
米由来の乳酸菌は、日本人の食文化に馴染み深く、研究により免疫調整作用など独自の有用性が示唆されているものがあります。特に、アレルギーなど免疫系の悩みに深く関わることが研究で示されている乳酸菌(例:LK-117株)は、腸内環境を整え、体の土台作りをサポートする上で注目されています。









