夏風邪は、一度かかると長引くことが多いです。夏になると、何となく体がだるく感じたり、お腹の調子が悪いと感じるのは暑さのせいではなく、夏風邪かもしません。そんな夏風邪の症状や治し方について見ていきましょう。
新型コロナウイルスがまだまだ心配な状況が続いていますが、夏に流行しやすい感染症もあります。体の調子がいつもと違うと感じた場合は、新型コロナウイルスと同時に他の感染症も疑うしかありません。感染症を予防するためにも、正しい情報を見極めることも大切です。
意外に知らない夏風邪の特徴
風邪の80~90%はウイルス感染が原因で起こります。ウイルス感染症は空気が乾燥する秋から冬にかけて流行するイメージがありますが、ウイルスにはたくさんの種類があり、その中には夏に活発になるウイルスもあります。
一般的に、夏風邪とよばれる感染症は子供がかかりやすく、発症すると保育園や学校などで流行しやすくなります。また、大人でも夏は暑さなどで免疫力が低下しやすいため感染症にかかる可能性が高くなります。
代表的な夏風邪の種類と症状
- ヘルパンギーナ
- 手足口病
- 咽頭結膜炎(プール熱)
ヘルパンギーナは子供に多い夏風邪の代表です。主にエンテロウイルス属のコクサッキーウイルスに感染して起こります。症状は、急な発熱、喉の痛みや水ぶくれ、皮膚の発赤などがあります。子供の場合は、喉の水ぶくれがつぶれてその痛みから飲食ができずに脱水症状を招くことがあります。
ほとんどの場合、発熱は2~4日、のどの症状は1週間ほどで治まりますが、2〜4週間程度はウイルスが便に含まれて排泄されることがあるので感染しないように注意が必要です。感染経路はくしゃみや咳による飛沫感染や、おむつ替え時などの便から感染する接触感染です。
手足口病は、4歳くらいまでの乳幼児を中心にみられます。原因は、ヘルパンギーナと同じくコクサッキーウイルスやエンテロウイルスなどですが、発熱はヘルパンギーナよりも軽度です。特徴的な症状としては、口の中や手足などに水ほう性の発疹が現れます。基本的には、数日間で治癒し予後も良好ですが、成人してから発症すると症状が重くなる傾向にあります。
咽頭結膜炎は、アデノウイルスが原因でプールの水を介して感染が拡大することでプール熱とも呼ばれています。アデノウイルスに季節特異性はありませんが、夏期に流行のピークがあったため三大夏風邪のひとつになっています。しかし、最近では冬にも流行を認めるようになっており年間を通して注意が必要です。症状は、発熱、頭痛、食欲不振、倦怠感などに加え、喉の痛み、目の充血などがみられます。アデノウイルスは、感染力が強くドアノブなどからの接触感染や、唾液などの飛沫感染で感染します。
夏風邪の特徴
エンテロウイルスは、喉だけでなく腸でも繁殖するため、発熱や喉の痛みに加え、下痢や腹痛など腸の症状がでるのが特徴です。夏風邪はお腹にくるとよくいわれるのは、このエンテロウイルスに感染したケースです。
本来、感染症の多くは一度かかると、免疫が作られるため感染しても発症しにくくなりますが、ひとつのウイルスの中には、さらにさまざまな種類があったり、インフルエンザのように毎年少しずつ姿を変えることもあるため、再び発症することもあります。
夏風邪を引き起こすウイルスに対しての特効薬はないため、夏風邪にかかったとしてもどの種類のウイルスに感染しているかまで調べることは少ないです。また、治療は症状に合わせて対症療法が一般的です。
★夏風邪に下痢止めはNG?
夏風邪による下痢は、腸内のウイルスを体外に排泄しようとして起こる症状です。下痢止めを飲んでしまうと、ウイルスが排泄されず回復が遅れることもあります。
ただし、何日も下痢が続く場合や、仕事などでどうしてもトイレに行けないという場合は 下痢止めを使用した方がいいこともあるので、まずは診察を受け医師から処方してもらうようにしましょう。また、下痢が続くと脱水症状を起こしやすくなるので、水分の補給を忘れずに行いましょう。
夏風邪が長引く原因
風邪は健康な人でもかかりますが、特に免疫力が低下しているときに感染すると症状も悪化しやすくなります。夏は、暑さや冷房のかけ過ぎによって疲労や食欲不振、寝不足などの夏バテの状態になると免疫力が低下し、通常より夏風邪にかかりやすくなるので注意が必要です。
★2020年は外出自粛による免疫力低下が心配
2020年は、新型コロナウイルスの感染予防対策としての外出自粛の影響で、免疫力低下が心配されます。外出自粛により活動量が減ると、代謝が減り、筋力の衰え、生活習慣病の悪化、また、ストレスの増加などによって免疫力が低下しやすくなります。また、日光に浴びる時間が減少したことでビタミンDも不足しがちに。
自粛期間中に低下してしまった免疫力をとり戻すには、自粛期間以上の時間が必要です。なるべく早くとり戻すためには、免疫力を高める習慣を意識して摂り入れる必要がありあります。
夏の免疫力を高める方法
夏の免疫力低下を引き起こす夏バテの原因は、主にビタミン、ミネラル、たんぱく質などの不足と、冷房による自律神経の乱れです。
夏バテを防止するためのポイントがこちらです。
- 暖かい料理を食べる
- 栄養バランスの摂れた食事を摂る
- 冷たい飲み物を避ける
- 水分はしっかりとる
- 冷房をかけすぎない
- 普段から汗をかく習慣を
- 入浴は湯船に浸かる
夏は、冷房で想像以上に体が冷えています。味噌汁や煮物など火を通した温かい料理も食べるようにしましょう。
夏は食欲が低下し、食事はそうめんなど簡単なもので済ませがちですが、そうすると夏は暑さで消費されるビタミンが不足し、疲れやすくなります。野菜などもしっかりとって、栄養バランスの摂れた食事を摂りましょう。
夏は、どうしても冷たい飲み物が飲みたくなります。しかし、冷たい飲み物は、胃腸の働きを低下させてしまいます。なるべく温かい飲み物を飲むようにしましょう。
夏は汗をかきやすいから水分を控えるのではなく、脱水症状にならないためにも、なるべく水分は多めに摂りましょう。
冷房の温度は体を冷やし過ぎないように、少し高めに設定するようにしましょう。また、外出先では冷房がガンガンにかかっているところも多いので、そういった場所では体が冷えないように衣服で調整するようにしましょう。
普段から汗をかかない生活をしていると、夏の暑さの中でも上手く汗をかけずに熱中症などを起こしてしまうこともあります。普段から軽い運動やお風呂、サウナなどで、汗をかく習慣をつけましょう。夏は、日が沈んでから30分程ウォーキングするのもおすすめです。
夏の入浴は、シャワーで済ませがちになりますが、冷房で冷えた体を温めるには入浴が効果的です。入浴はぬるめのお湯で20分程度、そして、お風呂から上がったら忘れずに水分補給をしましょう。
夏バテ予防に乳酸菌
夏は、冷房のかけすぎや冷たい飲み物や食べ物の摂り過ぎで胃腸が冷えています。胃腸が冷えると、栄養の消化吸収機能が弱まり、食欲不振や疲労など夏バテの原因にもなります。
そのため、夏バテ予防には腸を健康に保つことも大切です。
私たちの腸の中には100兆個以上の腸内細菌が棲んでいて、その中で体によい働きをしてくれるものを「善玉菌」と呼んでいます。そんな「善玉菌」の代表格となるのが乳酸菌です。
乳酸菌は、味噌やヨーグルト、漬物などの発酵食品に豊富に含まれているので、これらの食品を積極的に摂取することで夏バテ予防に繋がります。
まとめ
夏風邪が長引くのは、夏バテなどで体が弱っていることが原因です。夏だけでなく日頃から、免疫力を高める生活を意識しすることで夏風邪に感染しにくくなったり、感染しても症状が悪化しにくくなります。
夏に弱りやすい胃腸を整えるには、腸にいいとされる食事を積極的に摂取するのがいいですが、なかなか食事からの摂取が難しい場合は、乳酸菌サプリメントなどの利用もオススメします。乳酸菌の摂取で大切なのことは、継続的に摂取しつづけることです。