夏風邪は、一度かかると「長引く」「お腹にくる」といった特徴があります。特に体力のないお子さんが夏風邪をこじらせたり、夏バテによる食欲不振や下痢、肌荒れなどに悩まされると、親御さんとしては心配が尽きません。
これらの夏の体調不良の背景には、「免疫力の低下」が深く関わっています。そして、その免疫力の鍵を握るのは、やはり「腸」です。
この記事では、夏に免疫力が低下する具体的な原因を深掘りし、夏風邪の代表的な症状(特に腸の不調)への対策、そしてアレルギーや肌荒れにも有用性が示唆される「乳酸菌」を活用した体質改善の方法について、専門家の知見を交えて解説します。
本記事の要点
- 夏風邪(ヘルパンギーナ、手足口病など)の原因となるエンテロウイルスは腸でも増殖するため、下痢や腹痛を伴いやすい。
- 夏の免疫力低下の主な原因は、冷房による冷えと、冷たい飲食物の摂り過ぎによる「腸の冷え」にある。
- 腸の健康を保ち、免疫バランスを整えることが、夏風邪の予防やアレルギー・肌荒れ対策に繋がる。
- 米由来の乳酸菌(LK-117)は、マクロファージへの作用を通じて免疫バランスを整える有用性が共同研究で示唆されている。
意外に知らない夏風邪の特徴と「腸」との関係
風邪の多くはウイルス感染が原因ですが、夏に流行しやすいウイルスは、冬に流行するウイルスとは性質が異なります。
代表的な夏風邪の種類と症状
- ヘルパンギーナ: 急な発熱、喉の奥にできる水ぶくれが特徴です。喉の痛みから飲食ができず、脱水に注意が必要です。
- 手足口病: 乳幼児に多く、手や足、口の中に水疱性の発疹が現れます。発熱は比較的軽度ですが、大人になって発症すると症状が重くなる傾向があります。
- 咽頭結膜炎(プール熱): アデノウイルスが原因で、発熱、喉の痛み、目の充血などがみられます。
夏風邪が「お腹にくる」理由:エンテロウイルスと腸
夏風邪の代表的な原因となるエンテロウイルスは、喉だけでなく「腸」でも繁殖するという特徴があります。このため、発熱や喉の痛みに加えて、下痢や腹痛といった腸の症状が出やすいのです。
この下痢は、ウイルスを体外に排泄しようとする防御反応です。安易に下痢止めを使用すると、ウイルスの排泄が遅れ、回復が長引く可能性も示唆されています。脱水症状を防ぐための水分補給を最優先し、下痢が続く場合は必ず医師に相談しましょう。
夏に免疫力が低下する根本原因
夏風邪が長引いたり、大人でも夏バテで体調を崩しやすいのは、夏の環境が免疫力低下を招きやすいためです。特に重要なのが、自律神経の乱れと「腸の冷え」です。
冷房と冷たい飲み物が招く「腸の冷え」
- 自律神経の乱れ: 暑い屋外と冷房の効いた屋内の急激な温度差は、体温調節を担う自律神経を乱します。自律神経は腸の動きもコントロールしているため、乱れは腸の機能低下に直結します。
- 冷たい飲食物の摂り過ぎ: 冷たい飲み物やアイスクリームなどを摂りすぎると、胃腸が冷え、消化吸収機能が弱まります。これにより栄養が効率よく吸収できなくなり、全身の免疫システムに必要なエネルギーや栄養素が不足しがちになります。
腸には全身の免疫細胞の約7割が集中しています。腸が冷えて機能が低下すると、免疫システムが正常に働かなくなり、結果的に夏風邪をひきやすくなったり、長引かせたりする原因になると言われています。
夏バテによる栄養不足が肌荒れ・アレルギーにも影響
食欲不振から食事を簡単に済ませてしまうと、ビタミン、ミネラル、たんぱく質といった免疫細胞を作るために必要な栄養素が不足します。この栄養不足は、免疫力の低下だけでなく、皮膚のバリア機能低下を招き、肌荒れやアトピーなどのアレルギー症状の悪化にも影響を与える可能性が示唆されています。
「免疫のバランスを整えるには、腸内環境が非常に重要です。特に夏は、内臓の冷えによって腸管免疫の働きが鈍りがちです。腸の冷えは単に便通が悪くなるだけでなく、マクロファージや樹状細胞といった免疫細胞の活性にも影響を及ぼし、アレルギー体質の方の症状を不安定にさせる一因となる可能性もあります。」
夏の不調とアレルギーに寄り添う「米由来乳酸菌」
夏の体調不良やアレルギー対策として、腸の健康をサポートする「乳酸菌」の役割が再認識されています。特に、日本人にとって身近な「米」から分離された乳酸菌が研究されています。
共同研究で示唆されるLK-117乳酸菌の可能性
菊正宗が神戸大学・兵庫県工業技術センターと共同研究を進めているLK-117乳酸菌は、単に整腸作用があるだけでなく、マクロファージなどの免疫細胞に作用し、体内の免疫バランスを整える有用性が示唆されています。
- 免疫バランスの調整: 免疫の「監督」であるマクロファージを介し、免疫機能が過剰になりすぎたり、逆に低下しすぎたりしないよう調整する働きが期待されています。
- アレルギー症状の有用性: 免疫バランスが整うことで、アトピー性皮膚炎や花粉症など、過剰な免疫応答が関わるアレルギー症状の緩和に繋がる可能性も研究で示唆されています。
- 整腸作用・肌荒れケア: 腸内環境が改善されることで、便通の改善はもちろん、肌の健康維持(肌荒れ対策)にも良い影響を与えると考えられます。
継続が鍵:体質改善には時間がかかる
乳酸菌は薬のような即効性はありません。免疫機能や腸内環境の改善には、一定の時間がかかります。自分やご家族に合った乳酸菌を見つけ、継続的に摂取することが、夏の体調不良やアレルギーに負けない、根本的な体質づくりに繋がります。
夏の免疫力を高めるための生活習慣
乳酸菌の摂取と並行して、夏の生活習慣を見直すことが、免疫力を高める上で非常に重要です。
- 「冷やさない」食事: 冷たい飲み物や生ものばかりでなく、味噌汁や煮物など温かい料理も取り入れ、内臓の冷えを防ぎましょう。
- 積極的な栄養補給: 食欲がなくても、良質なたんぱく質(肉、魚、大豆製品)や、ビタミン・ミネラルが豊富な旬の野菜を意識して摂りましょう。
- 自律神経を整える入浴: シャワーで済ませず、ぬるめのお湯にゆっくり浸かることで、冷房で乱れた自律神経のバランスを整え、体も芯から温まります。
まとめ:夏の不調は「腸活」で乗り切る
長引く夏風邪、下痢、肌荒れなど、夏の様々な不調は、「腸の冷え」による免疫力の低下が一因となっている可能性が高いです。
日々の生活で腸を温める工夫をし、免疫バランスの調整作用も期待される米由来乳酸菌を習慣的に取り入れることで、ご家族の健康を体の中からしっかりとサポートしていきましょう。
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よくある質問FAQ
なぜ夏風邪は長引きやすいのですか?
夏は冷房や冷たい飲食物の摂り過ぎで胃腸が冷えやすく、自律神経の乱れから免疫力が低下しやすいためです。免疫力が低下すると、ウイルスへの抵抗力が弱まり、症状が長引きやすいと言われています。
夏風邪をひいたとき、下痢止めを飲んでも良いですか?
夏風邪による下痢は、腸内のウイルスを体外に排泄しようとする防御反応です。自己判断で下痢止めを飲むと、ウイルスの排泄が遅れ、回復が長引く可能性が示唆されます。脱水に注意し、下痢が続く場合は医師に相談してください。
夏の免疫力低下は肌荒れやアレルギーに関係しますか?
はい、関係します。免疫細胞の約7割が集中する腸の機能が、冷えや栄養不足で低下すると、全身の免疫バランスが乱れます。これは、皮膚のバリア機能低下や、アトピー・花粉症などの過剰なアレルギー反応を招く一因となる可能性があります。
LK-117乳酸菌は、夏の体調管理にどのように役立ちますか?
LK-117乳酸菌は、整腸作用に加え、マクロファージへの作用を通じて免疫バランスを整える有用性が共同研究で示唆されています。日々の継続的な摂取によって、免疫機能が正常に働く環境をサポートし、夏の体調不良やアレルギーに負けない体づくりに繋がる可能性があります。









