最近、「乳酸菌の数は〇〇億個以上!」というように、乳酸菌飲料などでも含まれている乳酸菌の数が強調されるようになりました。しかし、実際にはそれが多いのか少ないのかよくわからないという方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回は乳酸菌か多く含まれているイメージのあるヨーグルトは、実際にどれぐらいの乳酸菌が含まれているのか、さらに、乳酸菌の数と効果についても詳しく解説していきます。
ヨーグルトに含まれている乳酸菌の数
日本でのヨーグルトは、厚生労働省が定める「乳等省令」の中で、しっかり定義づけられています。「乳等省令」というのは、「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」の通称で、牛乳や乳製品などについて、成分規格、製造基準を定めたものです。その中でヨーグルトは、「発酵乳」として位置づけられています。
乳等省令では、発酵乳について「乳又はこれと同等以上の無脂乳固形分を含む乳等を乳酸菌又は酵母で発酵させ、糊状又は液状したもの又はこれらを凍結したもの」と定義し、成分規格に乳酸菌数又は酵母数を1ml当たり1000 万以上と定めている。
これからわかることは、『ヨーグルト1ml当たり最低でも1000万以上の乳酸菌がいる』ということです。
ヨーグルト100gの乳酸菌の数を計算してみよう
そこから、
1÷1.05=0.952・・・「ヨーグルト1gは0.952ml」という計算ができます。
上記の計算から『ヨーグルト100gは約95.2ml』となることがわかります。
ヨーグルト1ml当たり最低でも1000万以上の乳酸菌がいるので、
95.2ml×1000万(乳酸菌の数=)95200万
つまり、『ヨーグルト100gあたりに含まれている乳酸菌の数は約9億5200万個以上』ということになります。
ヨーグルト100gに含まている乳酸菌の数は9億5200万個以上、約10億個です。
メーカーによっても販売されているヨーグルトのサイズは様々ですが、比較的どのメーカーでも販売されているサイズをもとに乳酸菌の数を見ていくと、
- 大きいサイズのヨーグルト(内容量450g)だと、乳酸菌の数は約42億8400万個以上
- 中ぐらいのサイズのヨーグルト(内容量180g)だと、乳酸菌の数は約17億1360万個以上
- ワンカップサイズのヨーグルト(内容量112g)だと、乳酸菌の数は約10億6624万個以上
となります。
乳酸菌サプリメントとの比較
乳酸菌を効率よく摂取できるものとして乳酸菌サプリメントがありますが、乳酸菌サプリメントに含まれている乳酸菌の数は、少ないものでも20億個、多いものだと1兆個というものまであります。
例えば、ヨーグルト100gに約10億個の乳酸菌が含まれているとして、100億個の乳酸菌をヨーグルトで摂取しようとすると、1kgのヨーグルトを食べなければいけません。そう考えると、乳酸菌サプリには乳酸菌がギュッと凝縮されているのがわかります。
自家製ヨーグルトと市販ヨーグルトの乳酸菌数比較
近年、健康志向の高まりとともに、ヨーグルトの人気が再燃しています。特に、その健康効果の中心となる乳酸菌に注目が集まっており、「より多くの乳酸菌を摂取したい」というニーズが高まっています。そんな中、自家製ヨーグルトを作る人も増えてきました。しかし、自家製ヨーグルトと市販のヨーグルトでは、含まれる乳酸菌の数や品質にどのような違いがあるのでしょうか。そこで、自家製ヨーグルトの作り方と乳酸菌数の変化、そして市販ヨーグルトとの品質管理の違いについて、科学的な観点から見ていきましょう。
自家製ヨーグルトの作り方と乳酸菌数の変化
自家製ヨーグルトは、市販のプレーンヨーグルトや乳酸菌スターターを種菌として、牛乳に加えて培養することで作ることができます。一般的な作り方は以下の通りです。
牛乳を40-45℃に加温
種菌(市販ヨーグルトまたは乳酸菌スターター)を加える
40-45℃で6-12時間培養
培養過程における乳酸菌数の変化は、以下のようになります:
初期段階(0-2時間):乳酸菌の増殖は緩やか
対数増殖期(2-8時間):乳酸菌が急速に増殖
定常期(8時間以降):乳酸菌の増殖が緩やかになり、数が安定
自家製ヨーグルトの最終的な乳酸菌数は、通常10^8-10^9 CFU/g(Colony Forming Unit/グラム)に達します。これは多くの市販ヨーグルトと同等、あるいはそれ以上の乳酸菌数です。
市販ヨーグルトとの品質管理の違い
自家製ヨーグルトと市販ヨーグルトの主な違いは、品質管理と乳酸菌の安定性にあります。
乳酸菌株の選択
市販ヨーグルト:特定の効果や安定性を持つ厳選された乳酸菌株を使用
自家製ヨーグルト:種菌に含まれる乳酸菌株に依存
乳酸菌数の一貫性
市販ヨーグルト:厳格な品質管理により、製品間で一貫した乳酸菌数を維持
自家製ヨーグルト:培養条件により乳酸菌数にばらつきが生じる可能性がある
保存安定性
市販ヨーグルト:添加物や特殊パッケージングにより長期保存が可能
自家製ヨーグルト:添加物を使用しないため、通常1-2週間の冷蔵保存が限度
乳酸菌の生存率
市販ヨーグルト:賞味期限内は一定の乳酸菌数を保証
自家製ヨーグルト:時間経過とともに乳酸菌数が減少する可能性がある
栄養成分の管理
市販ヨーグルト:厳密な成分管理により一定の栄養価を維持
自家製ヨーグルト:使用する牛乳の質により栄養価が変動
安全性
市販ヨーグルト:食品衛生法に基づく厳格な衛生管理
自家製ヨーグルト:家庭での衛生管理に依存
結論として、自家製ヨーグルトは新鮮で高い乳酸菌数を含む可能性がありますが、品質の一貫性や長期保存の面では市販ヨーグルトに劣ります。一方、市販ヨーグルトは安定した品質と乳酸菌数を提供しますが、添加物を含む場合があります。どちらを選択するかは、個人の好みや目的によって異なります。
乳酸菌の数と効果について
乳酸菌の数が多いほうが効果が期待できそうなイメージがありますが、それは一概にそうとは言えません。
体外から摂取した乳酸菌は、腸に定着することなく一週間ほどで便として排出されてしまいます。実際に、乳酸菌が腸内に良い働きをするのは腸にいる間だけです。そのため、乳酸菌の数よりも常に乳酸菌が腸で働いている状態を維持することのほうが重要です。
さらに、乳酸菌には自分の腸内に棲む腸内細菌と「相性のいい乳酸菌」と「相性のよくないい乳酸菌」があり、乳酸菌を数多く摂取しても全く効果がなかったり、少ない数でも期待した以上に効果があることもあります。腸に棲んでいる腸内細菌の種類や数は、人によってさまざまなので、ある程度継続しても効果が感じられない時は、乳酸菌の数を増やすのではなく、他の乳酸菌を試すほうがいいでしょう。
乳酸菌は摂りすぎるとどうなる?
100億個の乳酸菌と聞くと、そんなに摂取しても大丈夫と心配になる方もおられますが、腸内には100兆個もの膨大な数の腸内細菌が棲んでいます。そこに、100億個の乳酸菌がはいったところで、1万分の1でしかありません。
また、乳酸菌には副作用などもなにので摂りすぎても大丈夫です。ただし、乳酸菌が腸内で働きすぎることで腹痛や下痢などの症状が出る場合があります。下痢は腸にとっては好ましくないので、そういった症状が出た際は乳酸菌の量を調節するなどしましょう。
乳酸菌は取りすぎても大丈夫だからといって、乳酸菌サプリメントをたくさん食べればいいというわけではありません。乳酸菌サプリメントに書かれている摂取量は効果が期待する為に必要な1日あたりの摂取量を記載されています。ですので、たくさん摂取したからといって働きが強まるわけではありません。
また、ヨーグルトの場合は摂りすぎには注意が必要です。ヨーグルトは乳製品なので、動物性タンパク質が含まれています。動物性タンパク質は植物性タンパク質に比べて消化に時間がかかるため、食べ過ぎると腸への負担がかかります。また、動物性タンパク質には脂肪分も含まれるので、脂肪やカロリーの摂りすぎになる可能性も。健康的な体をつくるためには、ひとつのものだけを集中して食べるのではなく、栄養バランスのとれた食事を心がけることの方が大切です。
詳しくこちらで解説しています。
→ 乳酸菌をとりすぎるとどうなる?副作用の心配は?
まとめ
一概には言えませんが、一般的なヨーグルトの乳酸菌の数から考えれると、効率よく乳酸菌を摂取するには、乳酸菌サプリメントがオススメです。ですが、「乳酸菌の数=効果が出る」ということではなく、自分の腸と相性のいい乳酸菌を毎日継続して摂取し続けることのほうが重要です。自分のライフスタイルに合わせて続けやすいものを選ぶのがいいでしょう。