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【専門家解説】生きてるより死んだ乳酸菌がアレルギーなどに働く

    生きた乳酸菌と死んだ乳酸菌で効果に違いはあるの?

    【専門家解説】生きてるより死んだ乳酸菌がアレルギーなどに働く

    By 菊正宗酒造乳酸菌研究開発チーム | 乳酸菌研究 | 0 comment |

    公開日: 2020年09月25日
    更新日: 2025年11月06日

    近年、健康意識の高まりから乳酸菌への注目が高まっています。ヨーグルトなどの食品に含まれる「生きた乳酸菌(生菌)」はよく知られていますが、実はサプリメントなどで見かける「加熱殺菌された乳酸菌(死菌)」も、私たちの健康に非常に重要な役割を果たすことが、専門的な研究から明らかになっています。

    特に、子どものアレルギーやアトピー、大人になってからの花粉症や肌荒れなど、日常の慢性的な悩みを抱える方にとって、乳酸菌はどのような形で摂取するのが最も効果的なのでしょうか。この記事では、専門家の知見を交えながら、生菌と死菌の違いと、加熱殺菌された乳酸菌が持つ驚くべき機能性について深掘りします。

    【本記事の専門的根拠】

    本記事は、腸内細菌研究の第一人者である光岡知足教授の研究や、菊正宗酒造研究所、亀田製菓株式会社お米総合研究所 齊藤雄飛氏、アサヒクオリティーアンドイノベーションズ株式会社 弘田辰彦氏などの殺菌乳酸菌に関する研究報告に基づき、乳酸菌の機能性について解説しています。

    乳酸菌の3つの機能分類:「生きた菌」だけではない可能性

    以前は「乳酸菌は生きて腸に届かなければ意味がない」という考えが主流でしたが、研究の発展により、現在は生菌・死菌それぞれに独自の有用性があることがわかっています。乳酸菌の機能は、主に以下の3つの概念で分類されます。

    プロバイオティクス:生菌が腸内環境を整える

    「プロバイオティクス」とは、生きたまま腸に届き、腸内細菌のバランスを改善することで有益な作用をもたらす微生物のことです。ヨーグルトなどに含まれる生きた乳酸菌がこれにあたります。これらは悪玉菌の増殖を抑え、便秘の改善や整腸作用に効果が期待されます。

    プレバイオティクス:善玉菌のエサになる成分

    「プレバイオティクス」は、もともと腸内にいる善玉菌のエサとなり、その増殖を助ける食品成分(食物繊維やオリゴ糖など)です。プロバイオティクスとプレバイオティクスを一緒に摂ることを「シンバイオティクス」と呼び、相乗効果が期待されています。

    バイオジェニックス:死菌が直接生体に作用する可能性

    近年、最も注目されているのが「バイオジェニックス」という概念です。これは、乳酸菌そのもの(菌体)や、乳酸菌が作り出した物質が、腸内環境を介することなく、あるいは腸内環境の改善とともに直接生体に作用し、有益な作用をもたらすという考え方です。

    殺菌処理された死んだ乳酸菌は、このバイオジェニックスとしての機能を持つことが研究で示唆されており、その成分(菌体成分、代謝産物など)が免疫調整作用や精神的ストレス緩和作用など、より幅広い健康効果を発揮する可能性が期待されています。

    【専門家からの考察】
    腸内細菌研究の第一人者である光岡知足教授の著書では、マウス実験で殺菌したヨーグルトを添加したグループでビフィズス菌の数が約10倍に増加し、寿命の延長がみられたという研究結果が示されています。このことは、乳酸菌が生きているか死んでいるかにかかわらず、その菌体や成分が健康に有益な作用をもたらすことを強く示唆しています。

    加熱殺菌乳酸菌がアレルギー・美容に働く「バイオジェニックス」メカニズム(深掘り解説)

    加熱殺菌乳酸菌がバイオジェニックスとして、アレルギーや肌荒れといったデリケートな悩みにどのように作用するのか、具体的な研究からそのメカニズムを見ていきましょう。

    免疫調整作用:アレルギー症状の緩和の可能性

    殺菌乳酸菌の研究で最も進んでいるのが、免疫調節作用です。口から摂取された殺菌乳酸菌の菌体は、腸に存在する免疫システム(腸管関連リンパ組織/GALT)に働きかけます。専門的な研究では、特定の乳酸菌(例:Lactobacillus acidophilus L-92株)の殺菌体が、アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎などの症状を緩和することや、インフルエンザウイルスに対する感染予防的な働きをすることが確認されています。(出典:弘田辰彦氏ら、殺菌された乳酸菌のはたらき)

    これは、乳酸菌体が持つ成分が、免疫細胞のバランスを整え、過剰なアレルギー反応を抑制するように働くためであると考えられています。

    お通じ・肌荒れへの作用:腸脳皮膚相関とセロトニン

    「便秘になると肌が荒れる」と言われるように、腸と肌は密接に関係しています(腸脳皮膚相関)。殺菌乳酸菌には、単なる整腸作用を超えた効果が示唆されています。

    • お通じの改善:特定の殺菌乳酸菌(例:L. casei 327株)は、腸の運動を司るセロトニン(5-HT)の合成を促進することで、大腸の蠕動運動を活性化し、お通じを改善するメカニズムが報告されています。(出典:齊藤雄飛氏ら、植物由来乳酸菌の研究)
    • 肌の保湿作用:セロトニンを介した作用や、お通じの改善により体内の不要物の排出が促されることで、肌のバリア機能の指標となる水分蒸散量(TEWL)を抑え、肌の保湿に役立つ機能が確認されています。(出典:齊藤雄飛氏ら、植物由来乳酸菌の研究)

    日本人の体質と「米由来の乳酸菌(LK-117)」の親和性

    数ある乳酸菌の中でも、特に米由来の乳酸菌が注目を集めています。これは、日本人が古くから米を主食とし、植物性乳酸菌を含む発酵食品を摂取してきた歴史があり、日本人の腸との相性が良いと考えられているためです。

    長年の研究で発見された米由来の進化系乳酸菌

    360年以上にわたる伝統的な日本酒造りの過程で、菊正宗は、お米と乳酸菌の深い関係に着目し、独自の米由来乳酸菌(LK-117株)を発見しました。

    【LK-117】バイオジェニックスとしての可能性

    この米由来乳酸菌(LK-117)は、神戸大学・兵庫県工業技術センターとの共同研究により、アトピーや花粉症、アレルギー症状、整腸作用など、幅広い有用性が示唆されています。これは、LK-117株が、生菌としての役割だけでなく、加熱殺菌後もその有用性を発揮するバイオジェニックス的な機能を合わせ持ち、日本人の健康の土台づくりをサポートする可能性が高いことを示しています。

    加熱殺菌乳酸菌は、熱や酸に強く、長期保存が可能で、様々な食品やサプリメントに利用しやすいという利点があります。この利便性の高さも、日々の生活で継続的に乳酸菌を摂取し、体質改善を目指す上で大きなメリットと言えます。

    まとめ:継続が鍵となる乳酸菌摂取

    乳酸菌は、生きた菌(プロバイオティクス)だけでなく、加熱殺菌された菌体(バイオジェニックス)も、私たちの健康、特にアレルギー、お通じ、肌荒れといった日常の悩みに深く関わる機能を持っていることが示唆されています。

    乳酸菌による効果を期待する場合、摂取した菌は腸内に定着せず数日で体外へ排出されるため、継続的な摂取が最も重要です。日本人の体質に適した米由来の乳酸菌(LK-117)を日々の食生活に取り入れ、体の内側から健康と美容の土台を整えましょう。

    → アレルギー・整腸作用への有用性が示唆される、米由来乳酸菌「LK-117」の研究情報を詳しく見る

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    よくある質問(Q&A)

    死んだ乳酸菌(殺菌乳酸菌)でも効果があるのはなぜですか?

    死んだ乳酸菌は、生きた菌のように腸内で増殖はしませんが、菌体の成分や代謝産物が直接生体に作用する「バイオジェニックス」としての機能が研究で示唆されています。これにより、免疫調整作用やお通じの改善、肌の保湿効果などが期待できると考えられています。

    生きた乳酸菌と死んだ乳酸菌はどちらを摂るべきですか?

    どちらにも独自の有用性があるため、バランス良く摂取することが推奨されます。生菌は腸内で増殖して整腸作用を促し、死菌は免疫調整などより幅広い作用が期待されます。継続摂取のしやすさも考慮すると、多様な機能を持つ乳酸菌を日々の生活に取り入れるのが効果的です。

    乳酸菌の摂取をやめるとどうなりますか?

    摂取した乳酸菌のほとんどは、腸内に定着することなく数日で体外へ排出されます。そのため、乳酸菌による健康効果を維持するには、プロバイオティクス、バイオジェニックスにかかわらず、毎日継続して摂取することが大切です。

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    菊正宗酒造乳酸菌研究開発チーム

    菊正宗では、江戸時代から続く日本酒造りの技術を活かした乳酸菌研究に取り組んでいます。菊正宗酒造乳酸菌研究開発チームは、食品機能研究者やサプリメントアドバイザーなど、様々な分野のプロフェッショナルが集結し、乳酸菌や乳酸菌の代謝物が人々の心と身体の健康にどのような良い効果があるかを日々研究しています。 → 研究成果はこちら

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